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第12回1000字小説バトル
Entry27

作者 : 岡田聡次郎
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文字数 : 996
 草木も眠る丑三つ時とはよく言うが、この頃は人間だけは起きて
いて、テレビを見ていたり、バイクを走らせたり、仕事をしていた
りする。俺はと言うと机に向かっている。大学受験が間近に迫って
いる。
 「ふぁぁ」
 あくびをしながら時計に目をやると3時を回っていた。
 「ようし、もう一息だ」
 と再び机の上に視線を落とし、ペンを手に持った時だった。不意
に窓がコツコツと音を立て始めた。出鼻をくじかれた思いがしたが、
そのまま無視して勉強を続けていると、その音は鳴りやまず気が散
って仕方がない。
 俺は不機嫌に椅子から立ち、カーテンを開けた。すると、窓の外
にはタケシが立っていた。彼は口をぱくぱくさせながら、楽しそう
な顔をしてこっちに手招きをしている。窓を開けてその声を聞くと
 「早くこっちに来いよ。楽しい事、たくさんあるぜ」
 さらに楽しそうな顔をし、早口に言った。
 何だか、こんな時間まで勉強をしている自分がバカらしくなって
きた。窓のすぐ向こうに楽しい世界があると言うのに、俺は何をや
っていると言うのだ。
 俺は、タケシの元へと外に飛び出した。すると・・・落下する様
な感覚がした。いや、感覚ではなく、実際に落ちているのだ。
 そうだった。そういえば、ここはマンションの15階だったんだ。

 タケシ? タケシ・・・! そういえばタケシは幼稚園、小学校
と同級生であり家が近所だと言う事もあり、ほとんど毎日一緒に遊
んでいた。中学校の時、お互いに別々の友達が出来、次第に会う事
すらなくなっていった。
 中学3年の時だった。朝、登校するとただならぬ雰囲気がそこに
はあった。正門の前には見慣れぬパトカーが停車していたし、朝礼
が始まる時刻になっても担任はしばらく来なかった。
 1時間程遅れて来た担任は
 「今から体育館で臨時の集会を行う」
 落ち着かない表情でそう言った。
 集会で俺が知った事実とは・・・
 昨晩、タケシが、校舎の屋上から飛び降り自殺をしたのだった。
いつからかは分からないが、タケシはいじめの対象となっていたの
だ。その時の俺は
 「ふーん」
 と、息を鳴らし、数週間後にはタケシがこの世に存在していた事
を忘れていった。

 忘れていた思い出が走馬灯の様に巡った。
 「あの時のタケシが・・・何故・・・?」

 アスファルトで出来た、冷たい地面に急接近する俺の頭の上でタ
ケシの声がした。
 「どうして、あの時、助けてくれなかったんだ」






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