第12回1000字小説バトル
Entry3
S「や、どうもどうも」 I「お久しぶり」 Y「おひさ。どうだい、調子は?」 S「ぼちぼちだね。いくら僕が有名人でも、こう長く不景気が続く とね」 I「おや、君もですか。私も最近苦しくてね」 Y「実際の所、我々ほど有名で、肖像画が多く印刷されている人間 もいないと思うがね」 S「その割には、生活は楽にならないねぇ。どうしてだろ」 I「ところで、その件の肖像画だけど、どうして君だけカメラ目線 なんですか?」 S「へへ、僕は誰かさんみたいにボケーッとしてませんからね。口 まで半開きに開いちゃって、カッコ悪い」 I「違う違う、あれは口を開いてるんじゃなくて、ヒゲの影なんで すよ。そんな事言ったら君の肖画、なんですかあの襟? ラガー マンじゃあるまいし、思いっ切りたてちゃって、最初に見たときは むち打ちかと思いましたよ」 S「あれはあれでいいんだよ! 「襟を正す」って言うだろ? あ んたみたいに前だけちょろっと折る方が中途半端でみっともないよ」 Y「いい加減にしないか、二人とも。見苦しいぞ」 I「そういえば、あなたの肖像画は和服ですね」 Y「うむ。やはり、和服は日本人の魂であろう」 S「ケッ、古くせぇ」 Y「なに?」 S「古くさいって言ったんだよ、このヒヒじじぃ!」 Y「き、貴様、日本の伝統文化を愚弄する気か?」 S「和服の悪口を言ってるんじゃなくて、お前がかっこわるいって 言ってるんだよ! 眉間にイボなんかつけちゃって、千政夫かっつ ーの!」 I「ちがうぞ、千政夫はイボじゃなくてホクロだ!」 Y「いや、そんな問題じゃなくて」 S「だいたい、前から思ってたけど、お前、車だん吉に似てるぞ! 川島なおみと「おまけコーナー」でもやってろっての!」 Y「うわ、それは言っちゃ駄目だろ、このむち打ち野郎!」 S「あほか、むち打ち違うっちゅーねん!」 I「こらこら! ケンカしてる場合じゃないぞ! もうすぐ新しい 仲間が増えるっていうのに」 S「なに、マジ?」 Y「誰だ?」 I「いや、それが、人じゃないらしいんだけど。沖縄の朱里城って 知ってますか、諭吉さん、漱石君?」
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