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第12回1000字小説バトル
Entry5

OH MY GOD

作者 : 岡嶋一人
Website : http://www.bekkoame.ne.jp/ha/nmatsuda/
文字数 : 993
「もう1回やらせて、師匠」
「こら、何度言ったらわかるんだ。師匠と呼ぶな、師匠と」
「わかったわよ。ねえ、良いでしょ。もう一回だけ」
「もう1回、もう1回って、これで4回目だぞ」
「4回でも5回でも良いじゃない。お願い、ねっ」
「仏の顔も3度までというのを知ってるか」
「あら、知ってるわよ、そのくらい。でも師匠は仏じゃないもの」
「当たり前だ。勝手に仏になんかされちゃあ困る。まあ、仕方がな
い。本当にもう一度だけだぞ。今度失敗したら2度とチャンスはな
いと思えよ」
「わかりました、師匠」
「その師匠と言うのをやめろと言ってるのに、私にはちゃんと……」
「じゃあ、行ってきまーす」
「ああ、おい、待て。慌てるな」
「なんか、まだお話が?」
「うむ、いいか、これまでの失敗を反省したか?」
「反省って?」
「何で失敗したのかということだよ」
「何でって、言われても困っちゃうな。私は一生懸命に考えて、一
番やりやすい方法でやってるんだけどな」
「やりやすい方法?」
「うん、簡単で楽な方法」
「そんなことを言ってるから何度も失敗するんだ」
「だって、あんまり難しいことやったら、私判らなくなっちゃうも
の」
「ばかもーん、お前には自覚がたらんのだ。自分の仕事を何だと思
ってるんだ」
「あら、ちゃんと判ってますよ」
「ちゃんと判ってるんなら、楽することばかり考えてないでまじめ
にやれ」
「だいたい、今使ってる接着剤が弱過ぎるのよねえ。ちょっと時間
経つとすぐに
はがれちゃうんだもの。他の皆も言ってますよ。前に使ってた『ベ
ッタリンコ バージョン3.2』はもっと強力だったって」
「確かにな。だが、あれは人体に悪影響があることが判ったんだ。
今の『クッツーク バージョン1.0』はそれが緩和されている」
「悪影響って?」
「あれを、あまり使用すると思考回路に異常をきたす恐れがあった
んだ。『クッツ
ーク』も、多少その傾向はあるが、格段に改善されている」
「そのかわり、接着力が弱くなったって訳?」
「まあ、そういうことだ。だが、他の連中も同じものを使ってるん
だ。お前だけ
じゃないんだから、接着剤のせいにするな」
「はーい」
「判ったら、早くいけ。いいかくれぐれも失敗するなよ」
「了解、行ってきまーす」
「おいおい、忘れ物だ。弓と矢を忘れちゃあ仕事にならんだろうが」
「OH MY GOD!」
「こら、私を頼るな」
「行ってきまーす」

「まったく、最近の天使は質が落ちたもんだ」






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