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第12回1000字小説バトル
Entry7

食べたらおいしいロータスの実

作者 : ニコ
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文字数 : 947
 隆之が手錠を拾ってきた。
「それどうしたの」
貴子は紙コップにお酒と氷を足した。
「そこの公園に落ちてたんだ」
「仕事もしないで昼間から公園なんて、ほんと浮浪者か隠居した老
人ね」
「まだ21だぜ。それよりこれ何に使るか考えない?」
隆之はだいぶ酔っている。さっきから手錠から目を離さない、拾っ
てきた手錠を指で摘まんだり自分の手首に当てては荒いため息を吐
いている。
「俺とおまえにつけようか」
「みんな変な目で見るわよ」
「でも、いつでも一緒にいられるぜ」
「誰も私達を引き離す事はできないのね」
「そうだよ、それが例え神様だって」
でも貴子はなんだか不安が隠せないようだ
「私性格悪いわよ」
「そんな事気にしないよ。おまえ奇麗だし、だいいちそのすこしひ
ねくれた所がかわいいんだよ」
「でも、そんなのつけちゃったらトイレいけないわ」
「俺もついていくよ」
「一緒にするの?」
「俺、見てるよ貴子がしている所」
「恥ずかしいよ」
「そう?俺、平気だよ」
「友達に会う時は?」
「俺も行く」
「仕事は?」
「辞めちゃなよ」
「生きていけないわ」
「じゃあ、二人で小説家になろうよ、それなら二人がつながってい
てもできる」
「私の事好き?」
「世界で一番好き」
「どこが好き?」
「目も鼻も口も」
「もし私が向かいのマンションから飛び降りると言ったらどうする
の?」
「僕も飛び降りるよ」
貴子は「痛いわよ」と言うとそれを見て隆之は白目をむいて死ぬ真
似をして貴子を笑わせた。貴子は最後の一口を紙コップから飲み込
んで隆之にキスをした。
「解ったわ」
貴子は隆之から手錠を取り上げると隆之の左手首に掛けた。
「愛してるよ、貴子」
「私もよ」
貴子は隆之の胸に顔を埋めるともう片方の手錠をベッドの策に勢い
よくはめた。貴子はそれと同時に隆之から離れふらふらしながらも
部屋を出て扉を閉めるとその扉を思いっきり蹴った。
「なにのんきな事言ってんのよ」
貴子は急いで部屋を離れて駅に向かった。
 

 隆之が鍵をポケットに持っているのを貴子は知っていた。
「もううんざりよ」
あのお酒と煙草とカビの匂いのするアパートを思い出すだけでも気
が狂いそうだった。
馬鹿にするなよ
私に虫歯になりそうな甘い言葉を吐くやつも
それを見て笑う奴等も
何の能もない私を馬鹿にするなよ
貴子は煙草を一本吸って、街へ向かう電車に乗り込んだ。






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