インディーズバトルマガジン QBOOKS

第13回1000字小説バトル
Entry13

野球

作者 : beebeeGirl
Website :
文字数 : 988
 野球観戦というものが、こんなにも暇で、帰ってからのテレビ番
組を考えてしまうものだとは、ぜんぜん、思わなかった。さっきか
ら、といっても二回の表ぐらいから、打ったとおもったら外野フラ
イで、観ていて、ストレスが溜まってくる。賢治のほうを見て、
「この試合、どう観ると、おもしろくなるの、ねぇ、なんかない」
 と訊くと、
「観てておもしろくないんだったら、どうしようもないんじゃあな
いの」
 と答えられ、こんなところに連れてくんな、と言おうとおもった
が、七回の裏で、いまさら言ったってしょうがないので、大きなた
め息をついて、口にしなかった。
 こよみでは、もうとっくに、春なのだが、さむくて、コートを着
てきたのは正解だった。風がしつこく吹いてきて、私達の周りに他
の客がいないことが理由ではないんだけれども、やっぱりドーム以
外で今後は野球を観戦しないと決めた。
「もう、帰る?」
 いかにも、私に合わせるみたいな感じで、賢治は、こっちを見ず
に言った。なんだかそんな賢治の態度が気に入らなかったが、私は
私で、ジョジョの奇妙な冒険みたいに、時間の無駄無駄無駄……と
心の中で連呼していたので、
「え? 賢治はいいの?」
 と言って、賢治が、
「なんかさぁ、飽きてきたから」
 と言ったので、
「じゃあ、帰ろう」
 と言いながら、やけに広く感じる球場をぐるっと見渡して、さっ
きからいちゃついているカップルの後ろに出入り口を見つけて、立
ち上がった。

 二、三度は雑誌で紹介されてるんじゃないかと思える、ちょっと
奥まったところにあるカフェに入った。慣れた、ゆったりとした動
作で注文を訊かれたあと、二人で何も話さずにいたら、まるで、私
達がインテリアのひとつになったような気分がし、そんな自分がつ
まらなく思えたので、
「カーテンは、もう、買った?」
 と賢治の顔を見ずに訊くと、
「あぁ、カーテンか、買わないといけないな」
 と賢治は、少し驚いたような顔して、こっちを見、ひとりごとの
ように言った。
 同棲のための部屋にカーテンがない生活というのは、わくわくし
ないではないが、すぐにふたりの関係に破局が来てしまうような気
がし、社会生活の中で、普段から、目にする家庭のカーテンの印象
の強さに感心してしまった。

 そういえば、野球なんてのは感心したことが一度もない。これは、
私の生活に関係がなく、知らなくたって、周りから注意されないか
らだろう。






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