インディーズバトルマガジン QBOOKS

第13回1000字小説バトル
Entry37

流れ星

作者 : 竹村礼代
Website :
文字数 : 1000
 死にたい。そう願うことは罪でしょうか?
「長くはもたない」と医師に宣告を受けながら、もう十一年・・・
たったと思う。今日は僕の誕生日らしく、「十一歳おめでとう」と
いうバ−スデ−カ−ドが送られてきた。やはり、十一年だ。
 白く静かな部屋に、僕は十一年間こもりっぱなしだ。病原菌不明
の感染症にかかっている僕は、生き物に触れたことはない。時折、
窓から鳥を眺めているだけで、それ以外の動物を見たこともない。
本で知っているだけだ。無論、母も父も知らない。「孤独」という
のは、こういうことを言うのだと思う。
 僕は自分で死ぬことができない。死に方を知らない。だから、誰
かに殺してもらうしかない。でも、この部屋には誰も入ってこない。
僕は、この病原菌が僕を殺してくれるのを待つしかない。僕と一緒
に、この世に初めて生まれてきた病原菌は、僕の体を痛めつける。
気が狂うような激痛が続くくらいなら、いっそのこと早く死にたい。
もしも願いがかなうなら、「殺してほしい」と僕は願うつもりだっ
た。
 流れ星が、窓の向こうに見えた瞬間、「死にたい」と焦る心はど
こかにいってしまった。眩しくて、奇麗で・・・コワイくらい美し
くて、願い事なんて浮かばなかった。きっと、ううん、絶対、世界
中の生き物達が、今この流れ星を見上げてる。願い事のことなんて
忘れて。何もかも真っ白な頭で、無垢な心で、透き通る瞳で、この
流れ星を見上げてる。地球を飲み込みそうなほど、大きい流れ星は、
1000くらい願っても叶えてくれそうなのにね。変だけど、それ
でいいと思うのは何故かな・・・きっと、本当に叶えたい願いは、
自分で掴むものだか
 ああ、いつから僕は、こんなにも欲深になっていたんだろう?
 生きたい。そう願うことは罪でしょうか?






インディーズバトルマガジン QBOOKS
◆QBOOKSに掲載の記事・写真・作品・画像等の無断転載を禁止します。
◆投稿された各作品・画像等の著作権は、それぞれの作者に帰属します。出版権はQBOOKSのQ書房が優先するものとします。
◆リンク類は編集上予告なくはずす場合がありますのでご了承ください。