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第14回1000字小説バトル
Entry10

幸せを作る壷

作者 : ドングリ
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 僕の腕時計が23時の時を表示している。ここに入ってから、も
う3時間くらいが経過していたのか。小奇麗な飲み屋のテーブルに
空のビールジョッキを飲めない僕に対して自慢げに誇示するかのよ
うに並べて、僕の向かい側には真っ赤な顔をした友人が自慢話をし
ている。延々と3時間こいつの自慢話を聞かされてきた訳だ。
なんだかんだ話は盛り上がっていく、他の友人の不幸な事故の話に
なった時「世の中には幸せな奴と不幸せな奴が居る、不幸な奴1人
で2,3人は幸せになれるんだ。俺?俺は大丈夫、お前がいるから
な。」・・あーそうかい、このふざけた宴もやっと終わりに近づて
くれた。店を出る時レジに立つと友人はいかにもものすごい偶然の
ように自分の財布に札が入ってない事に驚いている。そして急にひ
どく酔った振りをする。ああ・・またか、・・仕方なく僕は友人の
ぶんも立て替えてやる事にした。最初から僕に奢らせるつもりでい
たのだから会計が済ん
満足げな表情に、この貸しは返って来る事はないんでろうと覚悟し
た・・。手を振る陽気な友人と別れて、帰路に着く。
薄暗い街頭の立ち並ぶ商店街を抜ける途中、歩きながら、さっきの
友人の言葉を思い出していた。突然転んだ、足元をひっかけたらし
く、うつ伏せの状態になり、顔面を強打した。うめき声をあげると
前歯が1本抜けている事に気づく、折れた前歯を探そうと思ったが、
足元にひっかかった障害物にぶつかった。
奇妙な形をした壷が転がっている。
転んだ衝撃で少し欠けてしまったようだった。
投げ飛ばしてやろうと右手で拾い上げたが壷に何か文字が書いてあ
るのに気づいた。そこには「幸せを作る壷、賽銭せれたし」と書い
てある。ふざけやがって!叩き割ってやろうかと右手を振り上げた
が、思いとどまった。何か直感がして、おもむろにさきほど友人か
らもらった小銭を壷の中に入れた。
翌日、欠けた歯の痛みをこらえながら壷を探しにきた。壷は昨日の
場所に置いてあり。壷の中を覗きこむとそこには小銭が消えていた。
無意識に右足が出て壷を踏み潰した。破片が顔に当たり頬がすこし
切れた。
壷の残骸の中には紙切れが混ざっていた。
横には抜けた前歯が転がっていた。






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