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第15回1000字小説バトル
Entry1

ミラクルクランケ・完治 第41話

作者 : 工藤裕也
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文字数 : 851
 (前回までのあらすじ)幼少の頃にネフローゼを患った少年・完
治はその入院先で一人の老人・癒吉と出会い、様々な病苦を克服す
る「ミラクルクランケ」の人生を選んだ。           
 今回完治は新たな入院先の病院の利権を巡って「法定伝染病の勝
則(かつのり)」とエボラ熱対決をする事となった。ベッドに横た
わる完治たちのもとに運ばれたのは細菌の入った生理食塩水のパッ
ク。果たして完治に勝利はあるのか・・・。          

 「これがエボラか・・・」                 
 完治は目の前にある透明な液体の中に何かが棲んでいる事を改め
て悟った。それは勝則も同じ事だった。            
 「ククク・・・」                     
 しかし目の前にあるチューブパックを見た勝則は不敵にも笑いは
じめたのだった。                      
 「な、何が可笑しい!」彼らを映す病室のテレビカメラに向かっ
て、待合室にいる完治の弟子の復之助が怒号を上げた。     
 待合室の声は病室にも入っていた。勝則は部屋の角に設置された
テレビカメラに向かって語り始めた。             
 「面白い、教えてやろう。エボラっていうのはほぼ短期間で死ぬ
病気だ。よほど看護の体制が整っていなければ完治なぞ不可能だ。
俺のバックには平成製薬コンツェルンがついているからその辺に抜
かりはない。しかし完治の方では誰が看病をするのかね・・・クッ
クック・・・」                       
 「クッ」復之助は苦虫を噛み潰すように声を漏らした。完治への
看病は完治の要望で誰も行なえない事となっていた。さすがにレベ
ル4の病を扱うという事に完治も恐れを抱いていたのだった。  
 「か、・・・完治さん!」復之助は右手に持っていた杖を折った。
 かくしてこの病院でもっとも腕利きの看護婦の手によって、この
死の液体は一滴一滴と彼らの体の中へと落とされていった。   
 「来るぞ、来るぞ、・・・ワハハハ。ゾクゾクするな」    
 勝則は興奮していた。これから自分に起こる体調の異変に期待の
ようなものを感じずに入られないといった様子だった。     
 「勝則」                         
 完治はカツノリの注射針の刺さった腕を見ながらこう言った。 
 「お前は平成製薬の作ったワクチンを打って勝ったつもりだろう
が、生の病はそんなに甘いものじゃないぞ」          
 「何!」                         
 勝則は俄かに汗をかきはじめた。やがて二人の身体には異変が起
き始めたのだった。






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