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第17回1000字小説バトル
Entry10

遺書

作者 : ぱんち
Website :
文字数 : 998
 わたしは自殺しました。

 今まで何度も自殺は考えてきたけれど、いろんな人の励ましで何
とか頑張ってきました。生きていればきっといいことあるさ。オマ
エより辛い人はたくさんいるんだ。確かに人生辛いこともあるけれ
ど、楽しいこともある。でも、よく考えてみるとそれはごく当たり
前のことだと気づいた。そんなの確率の問題だ。辛いだけの人生や
、楽しいだけの人生なんて確率的にほぼありえない。今まで人間の

生きる意味について何度も考えてきたけれど、やっとわかった。人
は死ねなくて生きているだけだ。そう、ごく当たり前すぎること。
わたしが自殺したと知ったら、みんなはどう思うんだろうな。きっ
とビックリするだろう。悲しんでもくれるだろう。でも、残酷なこ
とにすぐにその現実を認めてしまうんだろうな。残酷なことにね。

 りんごが木から落ちることに疑問をもったニュートンはすごい、
というけれど。結局それを理論化したニュートンがすごいんでしょ。
りんごが木から落ちることに疑問をもった奴なんて他にもいたと思
うよ。だからそういうこと、わかる?人生なんて何にでも例えて話
すことができるんだよね。だって当たり前のことなだもの。ゼロに
なにを掛けてもゼロになるでしょう、そのゼロが人生。何も難しい

ことなんてないんだ。実に単純なものさ。逆に簡単すぎて難しく考
えてしまうってやつかな。おかしい、こんなに簡単に答えが出てし
まうなんておかしい、と思ってしまうんだね。そんでどんどん難し
く考えてしまうんだよ。そんなに深く考えたってわかるはずない、
答えが見つかるはずない。だって、答えはもう見つかっているんだ
から。それを答えと決めつけるのが恐いだけでしょ。

 おかしいな…、死ぬのは恐くないはずなのになんだか急に恐ろし
くなってきたよ。俺はいったい何に脅えているんだろう。きっと自
分の気持ちが変わってしまうことが恐いんだ。でも気持ちは変わっ
て当たり前。そんなこと言ってたらいつになっても何もできやしな
い。正当化だよ。いつも後づけで正当化するんだ。自分を守るため
にね。他人に嫌われないようにね。そう考えると、「君がいて僕が
いる」という言葉はなんて意味深い言葉なんだろうと思えるね。自
分で自分を評価できやしないからね。君がいなかったら僕の存在は
無くなるんだ。

 もうすべてがうすっぺらく見えるね。もともとそうだったんだろ
う。何も変わりはしないんだ。

じゃあ、そろそろ時間だ。






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