第18回1000字小説バトル
Entry5
何かを愛することは罪悪に似て、二人一緒に同じ罪を背負った夜。 「ねぇ、いつだってどんな時だって、最期には絶対に君の手で逝か せてくれる?」 うん、と君が頷いてくれたので、どんなことがあってもついてい こうと心に決めた。離れる気はさらさら無かった。かたく握りしめ あった私の右手と君の左手。近くのおもちゃ屋で買った手錠で繋い だ。鍵はすぐそこの川に捨てた。何かに祈りながら、他のすべてと 一緒に川に捨てた。離れたくないよ、と言うと、うん、と君。ねぇ、 本当に君と離れたくないよ。うん、分かってる、君が強く握り返し てきてくれた手に少し感動した。あまりに無力。でも君はわたしと 一緒に逃げてくれる。わたしたちがたどり着くのは一体どこ? こ の世の果て、世界の終わりに君と二人で。甘い夢、夢みたいな夜。 でも、しっかりと繋がれた手と手は現実のもの。わたしの右手に繋 がれた君の左手を頬によせる。この手を無理に剥がそうとすればき っと血が出るね。でも、接着剤を剥がすものなんて、普通にあるか ら、つかまればすぐに剥がされるよ、この手錠だって、しょせんお もちゃだし。もちろん君の言うとおり。溶け合うことができればい いのにね、溶け合って、ひとつの塊になっちゃえばいいのにね。泣 きそうになる。甘く切ないこの感情。ただ、君と二人でいたいだけ。 それだけなのに。胸が痛い (文字化け) ありがとう、わたしをすべて飲み込んでくれるのね。涙が止まらな くなる。ほら、周りの人が変に思っちゃう、泣き止まなきゃ。そう 思うのに声をあげてほんとうに小さな子供みたいに泣き出すわたし にうつむく君。今こうしてかたく握りしめあったこの手と手はまち がいなく現実のもの。なのに。君もわたしも知っていた。こんなこ とをしたって、いつまでもこうしていられるわけがない。わたした ちはいつか離れて、離ればなれになって、そうして残酷に生きてゆ くしかないの。 何かを愛することは罪悪に似て、二人離ればなれになることを知 った夜。
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