第18回1000字小説バトル
Entry6
まただ。またやって来た。 昨日もその前もはっきり言ったはず。 来ないで、もう来ないで、同じ言葉。 何で悲しくなるのわかってくれないの?今更どうにもならない。 一人で勝手に言いたいこと言って最後に明日もくるから、 あの人はそう言って帰っていった。 彼の足音が聞こえなくなってからそっと、外を覗いてみると 私の大好きなガーベラの花が置いてあった。 明日も来るのかな?本当は少し期待してる、でも駄目。 好きだとか愛してるとかそんな言葉で、解決出来ない事が たくさんあるでしょ。あなただってわかってるはずなのに。 何度来ても、私にはどうにも出来ない。 前は、あなたが私に言った言葉、どうにも出来ない・・・・。 あなたの大事な家庭を守るために私は黙って身を引いたのに。 思い通りにしてあげたでしょ。ちゃんと病院にも行ったし。 別れてからの私は最低だった。毎日毎日ベットの中でじっと していた。その時期が過ぎると次は外に積極的に出て飲み歩いた。 自分が今どこにいるのか何してるのか判らないまま、知らない男と 安ホテルで抱き合う事も何度もあったし、そんな事大したことじゃ ない。あなたを失った事に比べたら全然大したことじゃない。 あの日も、あの最悪の雨の日も私は相当酔っていた。 前から歩いてくるのがあなただって傘をさしていても頭がぼんやり してても、すぐに判った。 あなたは、笑っていた。隣にいる女性に向かって笑っていた。 初めて見たのに、奥さんだって何故かわかってしまった。 だから逃げた、もつれる足を無理に前に前にもうちょっとよ。 次の瞬間まぶしいなと思ったら、体が空を飛んだ気持ちよかった。 ちっとも痛くなんかない。無重力ってこんな感じかな?って思い ながら私は死んだ。 自殺じゃないのに、何故か私はあの世にいけない。 明日もあなたが来るから私のところに来るから私は行けない。 そして、あなたは私に話しかける。 愛していたよ。許してくれ。どうしたらいいんだ。 どうしたら、許してもらえるんだ。本当に愛していたんだ。 そうささやき続ける。 そして叫ぶ、どうしたら出てこなくなるんだ。
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