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第19回1000字小説バトル
Entry16

動機

作者 : ゆーこ
Website : http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=orizume
文字数 : 604
 「どうして? ねえ、どうして?」
 俺の後ろで、少女が悲しそうに問いかける。
(どうして?)
 それは、言うことはできない。……お前にだけは。
 そう、お前にだけは知られたくない。
 いや、知られてはならないのだ。
 それは、一瞬の出来心だった。
 伝言ダイヤルを利用したのだ。
『……!』
 それは、思い出のある名前を持つ少女だった。
 俺は、その子と会うことに決め、その日のうちに結ばれた。
 だが、彼女は十五才で、俺は三十才。犯罪だった。
 それでも、俺たちは会い続けた。
 彼女の母親の名前、そして思い出話を聞くまでは。
 母親は、中学時代に俺がつき合っていた女……。
 つまり、俺は実の娘と関係を持ってしまったのだ。
 そして、今日別れを告げた。
 彼女は泣いた。
 そして、言った。
「どうして? お父さん!」
 俺は、足を止めた。
「知ってたよ。私のこと、娘だってわかったんでしょう?」
「ああ」
「私、あなたの名前、私の実の父親と同じだったから会うことにし
たの。でも……。ひとめぼれだったの。ふふっ。母さんと好みまで
同じだなんてね」
「でも、一緒に暮らすことは……できない」

「聞いてる。母さんとは会わない約束」
「だったら!」
「でも、好きなの」
「……」
「好きなの! どうしても、好きなの!」
「!」
 そこで、俺の意識は途切れた。
 そこには、手を汚した少女が立っていた。
「そう、一緒に暮らすの……」
 そして、少女も、意識を失った。
 胸を汚した姿で。






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