インディーズバトルマガジン QBOOKS

第19回1000字小説バトル
Entry17

再会

作者 : 吉原 明 [よしはら・あきら]
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文字数 : 760
「昔と変わらないね」
「すぐに分かったわ」
 大学卒業後およそ二十年振りに優子に会い、「恋愛感情なんて長
続きしないもの」と信じていた恵司は、自分の考えが間違いだった
ことを思い知らされた。
 恵司と優子は学部は違うが、同じ大学の同期生。二人の関係は、
同じサークルに所属していた友人というよりも、「恵司が優子に勝
手に熱を上げていた」といった方が正しく表している。
 優子は大学卒業後、すぐに結婚。しかし、身体を壊したこともあ
り数年で離婚。その後、仕事の関係や家族の病気で全国各地を転々
とし、恵司などの友人とも音信不通になっていた。そして今年の正
月、仕事や家族の病気が落ち着いたため、十五年振りに優子が恵司
に年賀状を出し、電子メールを通じて交流が再開した。
 一方、恵司は二十六歳で結婚して子供も三人。しかし、仕事には
恵まれず、リストラされたことで一人でパソコンのソフトウェア製
作事業の立ち上げを計画。この日は、二年前から一人で化粧品販売
をしている優子に、税金など経営に必要な話を聞くため、東京から
飛行機に乗り、優子の住むK市までやってきたのだった。
「病気で何も食べられずに体が弱った時は体重三十キロぐらいまで
に痩せてしまったわ。でも、今は大丈夫。あなたは太ったわね」。
「大学のころより、十キロは太ったからね」 
 たわいのない話をしながら、「もし、自分が優子と結婚していれ
ば、どんな人生を歩んでいたのだろうと」と恵司は思った。きっと
仕事にも恵まれ、今よりも幸せな暮らしができたのではないかとい
う思いが頭を過った。
「もし、俺が別れたら結婚してくれるか」と恵司が尋ねた。
「そんなのは待っていられない。私はこれからいい男をつかまえて
幸せになるのだから」と軽くかわされ、恵司は「本当に変わらない
な」と、学生時代と同じ自分を情けなく思うのだった。






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