インディーズバトルマガジン QBOOKS

第19回1000字小説バトル
Entry26

前略。兄さん、事件です。

作者 : 太郎丸
Website : http://www.toshima.ne.jp/~takuto_k/index.html
文字数 : 1000
 いつもこんな手紙ばかりで申し訳ないとは思いますが、本当に今
度ばかりはどうしようか悩んでいます。ひょっとしたら殺人事件か
も知れません。警察に届けようかとも思いましたが、探偵社を経営
している兄さんに一言の相談も無く届けるというのも何ですし、電
話でもとは思いましたが、僕も事件を整理したいと思い手紙にしま
した。
 兄さんも知っている、高校から一緒の田口治ですが、ひょっとし
たら彼は殺されているかも知れません。その時の様子を説明します
ので、聞いて下さい。
 僕達は同じ大学で多いに学生生活を謳歌していますが、実は内緒
にしていたのですが、僕達にはそれぞれ付き合っている人がいて、
結構ダブルデートをしています。僕達はその日新宿で飲んだ後、治
のアパートで又飲みました。僕達はリビングのソファセットで飲ん
でいました。他愛も無い話をしていたのですが、突然治の彼女の斉
藤美穂という女性が、倒れ込んだ治を見て、「死んでる」とぼそっ
という声が聞こえたと思うと、「ヒーッ」という僕の付き合ってい
る薫が悲鳴を上げ、僕に抱きついてきました。僕はその勢いで床に
頭から倒れ、情けない事に気を失ってしまいました。
 気がついたのは病院で、どうやら救急車で運ばれたようです。脳
波も取られ異常はありませんでしたが、その日は入院させられてし
まいました。でも治は救急車では運ばれなかったというし、一緒に
きた女性も帰ったといわれました。
 翌日僕は治のアパートへ行きましたが、カギが掛かっており、朝
刊もポストに入ったままです。しかも薫とも連絡が取れず困ってい
ます。どこにいるか調べて貰えないでしょうか。

前略。茂君から依頼のあった件を少し調べて見ましたが、勿論殺人
事件は起きてはいません。茂君の付き合っている人が女性でなかっ
たというのは少し驚きましたが、その件については後でゆっくり話
をしたいと思います。茂君も判っている通り、美穂さんは酔いつぶ
れた田口君を死んでると表現したんでしょう? 茂君には残念です
が、彼女?の薫君は今は美穂さんと付き合っています。勿論茂君の
事だからそんな事は感じていたのではないでしょうか。薫君は茂君
からの電話は無視しているようですね。きっと薫君も普通の恋愛の
方が良かったのではないでしょうか。部屋に大きなネズミを飼って
いる田口君は田舎に帰っています。母さんが寂しがっていましたよ。
調査料は、母さんへの電話という事にしておきます。







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