第20回1000字小説バトル
Entry14
横で寝ている息子の顔を見る。 私の幼年期のような間抜け面。 この子には、私の過去が確実に宿っている。 まるで、この子の未来には、私の可能性さえも見えるかのようだ。 いや、それとは少し違う。 「遺伝子レベルでの『私』が生きていく道が見える」というのがし っくりくる。 同時に、私に至るまで脈々と辿った遺伝子のダイナミズムを感じる。 私の遺伝子−つまり『私』−は、少しづつ変化しながらも実は小さ く繰り返し、私が私を生み、前の私に育てられ、次の私を見つめな がら戒め励まし、長い歴史を経て成長し続けてきたのである。 こう改めて考えると、子育ては、自分の愚かさ、貴さを第三者とし て冷静に見つめ直し、生まれ変わりに一言申す事のできる夢のよう な機会であり、大きな意味での自分自身を育てる作業なのであろう。 私はこの子の傍らで、私が生誕した意味を、遺伝子を継承した事の 重みを、痛切に受け止めずにはいられない。
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