第20回1000字小説バトル
Entry17
環状線になっている私鉄の一番先頭の車両に私は座っている。向 かい合わせになっている座席の正面に座る女は短い青いスカートを 履いている。無意識にか、あるいは意識的になのか、電車がカーブ に差し掛かるたびに女の足が少し広がる。私はそのたびにそれとな く首を右に傾け、視線をその広がった空間に向ける。次のカーブに 差し掛かったときには、腕を組み難しそうな顔をした隣の男も首を 右に傾ける。 やがて、電車はトンネルへと入っていく。暗く短いトンネルを抜 けると、私はその女になっている。次のカーブに差し掛かると、向 かいに座った三人の男は、腕を組み首を右に傾ける。私はそっと足 を広げる。
![]()
◆QBOOKSに掲載の記事・写真・作品・画像等の無断転載を禁止します。
◆投稿された各作品・画像等の著作権は、それぞれの作者に帰属します。出版権はQBOOKSのQ書房が優先するものとします。
◆リンク類は編集上予告なくはずす場合がありますのでご了承ください。