インディーズバトルマガジン QBOOKS

第20回1000字小説バトル
Entry24

実力主義?

作者 : Default [デフォルト]
Website : http://www.biwa.ne.jp/~biwa9611/index.htm
文字数 : 1000
『合格者は72番、高島貴志。スペース・センチュリー・カンパニ
ーへの入社手続きを行うので、会議室17まで来るように』
「よし!」
 そのアナウンスに俺は思わず立ち上がって、ガッツポーズをつく
った。部屋を見まわすと、アメリカ人、ロシア人、イギリス人、中
国人、そして、日本人。世界中から集められた奴等が、うなだれ、
悲嘆し、悔しさに歯ぎしりしていた。
 思わず笑いがこみあげてくる。
 この部屋にいるのは、みなエリートなのだ。それもただのエリー
トではない。各国のトップ集団の中からさらに選抜された、超のつ
くエリート達だ。そんな奴等をさしおいて、俺一人が合格。いうな
れば、それは俺が地球で一番だという事だ。
 俺は止まらない笑いをどうしようかと思案しながら、その部屋を
後にした。

「おめでとう。高島貴志くんだね。SCCへようこそ」
 会議室17で俺を出迎えてくれたのは、カバみたいな奴だった。
面長の顔に眠たげな目である。その低い声は、重厚さというより、
愚鈍さを俺に感じさせた。
 正直、こんなニブそうなのがSCCの社員とは信じられない。し
かし、俺はカバ……いや、バカではないのでそんな感情を顔に出し
たりはしない。
「ありがとうございます。よろしくおねがいします」
 そう言って礼をすると、カバはうんうんと頷いた。
「君のテストの成績、素晴らしかったよ。君のグループではダント
ツのトップだ。二位以下は団子状態でね。人事部もコンピュータも
わが社に迎えるのは、君以外にはありえないという結論に達したよ」
 カバが眠たくなるような口調で言った。
「ありがとうございます」
「で、君に割り当てられる仕事の候補がいくつかあがっていてね。
君自身に選んでもらいたいんだ」
「はい」
「コピー取り、お茶くみ、トイレ掃除だ。どれでも好きな仕事を選
びたまえ」
 カバは笑顔で言った。
 俺は絶句した。
「じょ、冗談ですよね?」
 カバは首を横に振った。
「なぜですか! 俺はテストでトップだったんでしょう? その俺
がなんでお茶くみやら、トイレ掃除みたいな誰でもできるような雑
用係なんですか!」
 詰めよる俺に、カバはすこし困った顔をして答えた。
「……君がテストでトップだったのは君のグループ、すなわち地球
人の中だけの話なんだ。本当のところ、宇宙での地球人のレベルは
最低なんだよ。宇宙雇用機会均等法なんてくだらない法律がなけれ
ば、誰も地球人を雇うなんて酔狂はしないんだがね……」






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