第21回1000字小説バトル
Entry17
俺、千字。寿命が千字だから千字。どうして千字しかないのかと言 えば、このバトルのルールがそうなっているからだ。どうせ千字限 りの命、俺は出来るだけ有意義かつ有効に命を使いたいと思ってい る。だけど、何をすればいいのだろう。他の作品たちは凄い。たっ た千字の間に色々と成し遂げて終わっていく。俺なんて何をするべ きか決めてもいないうちに百五十文字使ってしまった。これは明ら かに無駄遣いだ。段落も作らなければ一字下げもしないで節約して るというのにこんな無駄遣い。言葉に対する修練が足りない証拠だ。 できるだけ節約しなければお茶を飲むというならお茶する。木村拓 哉ならキムタク。……文字数変わってないじゃないか。余計なこと を言った。何? 行数じゃなくて文字数だから改行はOK? 先に言え。 ちょっと気持ち的に余裕が出来た。さて、何をしよう。できるだ け意義深いことをしたい。大袈裟なと思っているだろう。たかが千 字の命の癖にと、しかし、一寸の虫にも五分の魂。千字の作品にだ って、千ページの作品同様、生まれてきたからには気概くらいある んだ。452 とはいえ、時間がなさ過ぎる。薄羽蜻蛉だって三日の寿命を持っ ているっていうのに、俺の寿命はたった千字。時間に直せば五分足 らず。そんな間に何をしろというのだ? もう半分以上すぎてしま った。何もしていないうちに。 今からどこかに出ていって、誰かにあったり、何かをしたりして 語り終えることが出来るだろうか? 多分無理だ。それにしてもな んて無駄な語りだろう。勿体ないことこの上ない。ちょっと何をす るか決めるまで、黙っていよう。節約だ。無我の境地。 何も話が進まないじゃないか! 考えてみれば当たり前だ。文章 は文字を消費することで成り立っている。文字を節約することは、 世界を止めてしまうことだ。どうすればいいんだ! あと二百五十 文字もない。 どうしたらいいんだ。俺は何をしたら良いんだ。この限られた短 すぎる命にどうケリをつければいいのだ。こんな理不尽な存在とし て俺を生み出した作者。俺は奴に怒りすら覚える。 いよいよあと百字だ。畜生、何もしないうちに消えていくのか。 せめてもう一度チャンスをくれ。こんな無駄な文字の使い方をする ことなくちゃんと生きてやるから。だがどうやって? 何かあるは ずだ。俺がもう一度生きるための方法が。考えろ。考えるんだ…… そうか、あったぞ。もう一度生きる方法が。 なあ、あんた、もういちど最初に戻ってくれないか? 頼むよ。
![]()
◆QBOOKSに掲載の記事・写真・作品・画像等の無断転載を禁止します。
◆投稿された各作品・画像等の著作権は、それぞれの作者に帰属します。出版権はQBOOKSのQ書房が優先するものとします。
◆リンク類は編集上予告なくはずす場合がありますのでご了承ください。