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第22回1000字小説バトル
Entry3

それゆけデッドビッキーズ

作者 : もんでん琴戸
Website :
文字数 : 992
「お前ら、一度、自分達でなぜ弱いか考えてみろ」
 監督は自分の部屋へ僕達を招き、僕達だけでミーティングをさせ
た。僕達とは少年野球チーム「デッドビッキーズ」のメンバーだ。
ここら辺りでは、毎年リーグ最下位の弱小チームとして有名で、こ
のチームに入ってくるのは、他の強豪チームではヘタクソで試合に
出させてもらえない連中だ。
 僕もその一人。
 僕の場合さらにこのチームでも補欠なので、救いようのないヘタ
クソということになる。ヘタクソの言い訳になるのかどうかわから
ないが、僕は喘息を患っている。いや、やっぱりこれは言い訳だな。
日本中に喘息を患っている野球少年は沢山いるはずだ。そしてみん
ながみんな、僕みたいに野球がヘタクソだとは限らないもの。

 みんなでミーティングをしたところで、何か解決策があるわけで
もない。やがて野球とは関係ない、テレビやゲームの話が盛り上が
り始めた。
 その時突然、監督が一本のビデオテープを持って部屋に入ってき
た。
「今からお前らに映画を見せてやる。これを見て、どうしたら強く
なるかもう一度考えてみろ」

 監督が見せてくれた映画は「がんばれベアーズ」という、僕が生
まれる二十年ほど前の少年野球を題材にした映画だった。主人公の
酒ばかり飲んでいる監督が、僕達と同じような万年最下位の少年野
球チームを強くする話だ。
 芝生の上で野球をしたり、まだ子供なのにバイクを乗り回したり、
ピッチャーが女の子だったり、、僕達とは全く環境の違う世界にま
ず驚いた。映画はそのバイクに乗る少年と、ピッチャーの女の子が
途中から加入して、ベアーズは快進撃を始める。
 そして決勝戦、酒飲みの監督は大接戦の終盤に、日頃出番のない
補欠の選手達を起用する。おかげでベアーズは大量失点をするのだ
が、その補欠メンバーの一人である僕と同じ喘息もちの子供が、あ
わやホームラン性の大飛球を好捕する。このプレーで盛り上がった
ベアーズはその裏猛反撃をし、結果的には追いつけなかったものの、
彼らは勝利以上に大切な何かを得るのである。僕はその同じ喘息少
年を自分と重ねてしまい、感動して涙が出そうになった。しかしさ
すがにみんなの前では涙は見せられない。
 
 映画が終って監督が言った。
「どうだ。少しはわかっただろう。強くなるには上手い選手を連れ
てくることだ」

 その晩、僕は風呂場で陰毛が生えていることを発見した。






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