第22回1000字小説バトル
Entry4
空が広かった。 その空一面の雪。 それが昇ってゆく。 そう見えるとかそんなんじゃなく、本当に、吸い込まれるように、 まっさおな空へと昇ってゆく。 見つめている雪たちが、とけて雨となり、頬を濡らす。 とても、気持ちよかった。 昨日の夜に降った雪は、薄い布をかぶせるようにつもった。 けれど、今はもうない。 みんな、空へ行ってしまった。 首がつかれるくらいに空を見上げていたら、空に雪でないものも昇 りはじめた。 小さな埃。枯れ葉のかけら。 靴底の薄くなったスニーカーのせいで足の裏がむずむずする。 わたしは、下を向いて小さく跳ねた。 着地して、舞い上がった砂が、そのまま昇ってきて顔にあたる。 あわてて眼をつぶった。 そのままじっとしているのに砂つぶのあたるのがとまらない。 仕方なく、そっと、眼をあける。 すごい。 それは、砂漠の砂あらしのなかにいるような光景だった。 小さな小さな砂つぶたちが一斉に昇ってくる。 でも、風は感じない。 砂浜に寝ていて上から砂をかけられたような感じ。 ただ、砂たちが地面から落ちて降りつもる。 わたしはたえきれず空をふりあおいだ。 せきとめられていた砂たちが、飛び立つように空に落ちてゆく。 もう、太陽も見えない。 足がもっとむずむずして、体に砂が降りつもる。 わたしは両手をいっぱいに広げた。 そうして空へと落ちてゆく力を少しでもたくさん感じたかった。 肩まで伸ばした髪の毛の先が、ゆっくりとはねるようにまがり、落 ちてゆく。 そうだ、何もかもが 空へ……落ちてゆく。 わたしはすごいわくわくした。
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