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第23回1000字小説バトル
Entry14

蒼の首輪

作者 : 織衣 桃花
Website : http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Ink/6636/
文字数 : 746
 私ノ好キナ猫ハ梅<埋メ>ノ木ノ下ニ埋マッテイル・・・ 

 代々飼っていた猫だった。名前はアオと言う。 
  
 彼はアンという名のトラ猫の子として生まれた。 
 アンの子は三匹。アカ、アオ、キーと名づけられた。何故なら、
首輪の色が赤、蒼、黄だったから。 
 アカは勘が鋭く気が強く、頭の良い猫だった。
 アオは体ががっしりとして毛並みの良い活発な猫だった。
 キーは性格の良い大人しい猫だった。
 四匹はとても美しい親子で、私たち家族は彼らを愛していた。

 しかしある時、彼の母のアンが車に撥ねられた。  
 アカは行方不明になった。 

 せめて、死体だけでも見つかればアカも弔ってやれたのに……。 
 哀しみの中、私たちは確かにそう話していた。 
 居なくなってしまった彼女達の分もと、私たちは残りの兄弟をい
つも大切に慈しんだ。 

 秋の気配の漂う日、アオが行方不明になった。 
 必死で探した。家の中も、裏の山も、近所も、道のむこうも、川
の向こうも。だが、三日経っても、彼は出てこなかった。  

 諦めかけたある日。  
「鈴の音……ほら、鈴の音がする!」


 あのとき、アオしか鈴は付いていなかった。  
 立ち上がった母が目にしたのは、蒼い首輪をした猫が家の前の歩
道へスルスルと歩いていくところだったという。 
「アオ、待ちなさい!」  
 玄関を開けたときには、道路を渡っていく猫の影……。 
「ねぇ、アオが居たよ!早く来て!」  
 母は叫ぶと、道路の向こうの駐車場へ、その影を追っていった。 

 暫くして、探しに出ようとした私たちの元へ、母が帰ってきた。 
「車の下に潜り込んでいるの……。」 
 急いで駆け出した私たちが、車の下のアオを引き摺り出した時。 

「アオ」は冷たく固く、なっていた。 

 夕暮れの中。   
 私もあの時、アオの鈴の音を聞いていた。






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