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第23回1000字小説バトル
Entry17

あなたはそれを、悪運だ、といった

作者 : OresamaX
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文字数 : 1000
長い夢を見ていた。とおい眺めの向こうに、まぶしい水平線。その
雲のはるか彼方から、久しぶりのしめった風。いつも見なれた岬を
ぐるりとまわって、ひとつまたひとつと、うねりを繰り返し押し寄
せ、せわしなく砕けちる波。この波、そしてあの波と数えながら、
やがて意識から音が消えて、空も風もそして波も消える。

喉のかわきで幾度となく目がさめる。

"Water please. I wanna something to drink."

氷のひと欠片をスプーンでもらうと、語りかけてくるその相手が誰
かを確かめるすべもなく、夢へと意識は続いていく。

横たわる背中から腰まで、落としきれなかったザラザラとした砂の
いつもの感触がある。バンの中での暮らしではいつも慣れっこの、
この砂がわずらわしい。頭を起こし砂を払い落とそうとして左足に
走った鈍い痛みが、事故の記憶を呼び起こし、意識が回復した。

部屋を眺めると、青いカーテンと白いシーツ。

「オレは、助かった」

部屋の景色はみたくはなかった。
目を閉じると、ビーチに何とかたどりつくまでの記憶がオレを苦し
めた。麻酔のせいだろうか。リアルな記憶が、幾度となく浮かぶ。

「帰れるのか、ビーチまで…」

左足が効かない。やぶれたウェットスーツから真っ赤な鮮血がにじ
み出している。シャークアタックを笑っていたことが悔やまれた。
そういえば、あのサーファが笑いながら言っていた。

「あいつらは、ガブリと食いちぎって、吐きすてるのさ。オレ達の
肉はアザラシとちがって、脂肪が少ないし、まずいらしいぜ」

「食わないのなら、オレに気づかないでくれ」

祈りながら、顔を上げて水面を眺め通り過ぎる波を確認する。

「ダメ、ダメ、ダメ…」

幾度と数えながら、わずかな隙間で息をつなぎ、またもぐる。
ついさっきまでたのもしく見えいた波が、今はすでに恐怖に変わっ
ていた。小さめの波を待ち、板を抱えてのり、やはりこれでは波に
ついていけず、波にまかれ、またもぐって波を待つ。

血がとまらない。恐らく傷は深い。自分を深く傷つけたボードを必
死で手繰り寄せる。腹が立つが、これがなくては決して帰れない。
傷口が痛むが、はっきりとした意識があるだけ、まだ、ましだ。

血液はいつまで持つのだろう。
人の限界はどこにあるのか。
オレは死ぬとき苦しむのか。

医者が意識が戻ったのを聞きつけて、俺に声をかけに来た。
目を空けるなり、気遣いのことばと、診断名を告げた。

「君は、左足の動脈・腱・神経すべてを、事故で切断した」






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