第23回1000字小説バトル
Entry28
新聞のチラシには減量のそれみたいに、体験談が載ってたの。 「相手の男から、すっかり興味を無くしてくれたのには感謝してい ます」とか「人が変わったようだと友人からいわれる様になりまし た」なんて言葉が書いてあったと思うわ。 「には」とか「人が変わった」なんていうのはちょっと気になった んだけど、警察じゃあんまり期待できないのはわかってたから、つ い電話をしちゃったのが始まりよね。 ストーカーしてる男は、私が前の前に付合って貢がせていた男だ から、しっかり判ってたのよ。 前から変な奴だと思ってたけど、円の切れ目が金の切れ目ってい うんだっけ? そんなの当たり前よねぇ。で、綺麗に別れたつもり だったんだけど最近また付きまとってきてさぁ。物陰から見てたり、 後ろを黙って付いてきたりするんよ、これが。 この間なんか、帰ったら私の部屋に入ってたのよ。信じられる? さすがにびっくりしたわよ。もう慌てて警察呼んじゃったもんね。 でも警察って何にもしてくれないのョ。電話番号も変えたのに、ど うやって調べたんだか夜中に無言電話はあるしさ。さすがの私もま いっちゃったわけよ。 電話した会社からやってきた女の人に憲太(ストーカー)の事を 話したら、彼女は「2週間程で被害に遭わなくなりますよ」って請 合ってくれたのよね。だけどそれって長いのか短いのか判らないけ どさぁ。だけど30万よ。30万。びっくりもんよ。まぁ、今の彼 に出させたからいいんだけどさ。 対策はこれですって渡されたのがこれ。この予定表よぉ。 「必ずこの通りに実行して下さい。でないと失敗した場合でも頂い た料金は返せませんし、ストーカー被害も無くならないと思って下 さい」 なーんてしっかり念を押されちゃったの。仕方ないからその予定 通りの生活をおくったってわけよ。結構きつかったけど、目的があ るから頑張れたのよね。 予定をしっかり守った私は我ながら立派だったと思うわ。自分を 誉めてあげるって感じよ。 確かに、憲太はストーカーをしなくなったわよ。だけどさこれっ て詐欺だと思わない、ねぇ。これじゃ町も歩けないわよ。今の彼だ ってさぁ、結婚しようなんて言ってたのに別れるタイミングを計っ てるってる感じなのよ。最近会ってもいないし…。まったく私を振 ろうなんて失礼しちゃうわ。 友人を見送った彼女には、笑い声が聞こえてきそうだった。 20キロ程体重が増えた彼女は、コーラを片手に部屋に戻った。
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