第23回1000字小説バトル
Entry8
実際、アタシほどイイ女なんていないと思うわよ? いつも優しくって、ウルサイことなんて全然言わないし? もちろん詮索だってしない。友達と遊びに行くって聞いた ら「楽しんできてね」って笑顔でお見送り。 お給料日前でお金がないならアタシが出してあげる。欲し い物だってちゃんと覚えておいてプレゼント。 アナタはとってもスタイルを気にする人だから、でもアタ シから見ればアナタはいつだってとってもステキだわ。格好 良くて見惚れちゃう。 いつでもアナタをたてて、でしゃばったりしない。アナタ が誰かと話をしてるなら、アタシは後ろで微笑んでいるわ。 アナタの言うことには絶対に逆らったり反対したりしな い。アナタがいつだって正しいの。 もちろん浮気なんてとんでもないわ。アタシはアナタ以外 の人間なんてどうでもいいもの。アナタの為なら何だってす るわ。 ね? 最高の恋人でしょ。こんなイイ女、他にはいないわ よ? それなのに。 サヨナラ? それは何? アナタみたいなワガママな人、アタシが甘やかしてあげな くちゃダメなんだってば。他の女になんて、絶対無理よ? 他に好きな人がいるの? 何よ、それ。アタシのこと好きだって言ったじゃない。 大事な人? 他の女が好きで、でもアタシも大事? 手放 せない? そんなのイヤよ。アタシにはアナタだけなのに。アナタに もアタシだけ。ずっとそう信じていたのよ? 好きだった? でも近くにいすぎた? だから恋人じゃ ないけど大事? ふざけないで。アタシはずっとずっとアナタのためだけに 生きてきたのに。 …わかったわ。 嬉しそうな顔をするのね。 アタシはアナタのことなら何だってわかってるわ。アナタ が本当は嘘を言っていたことだって知っていたの。アナタの 嘘くらい、すぐわかるのよ? それでも黙っていたのにね。 アナタはアタシのこと、何もわかっていなかったのね。 確かめなくていいのかしら? アタシが何を「わかった」 のか。 アナタに捨てられるくらいなら生きていられないって、ず っと思ってたわ。それは本当よ? いまだって死んでしまい たい。 でもね。 アタシもアタシ自身のことはわかっていなかったのね。そ れがいま「わかった」の。 だから。 「わかったわ」 アナタってばそんなにほっとした顔をして。 でもすぐにきっとわかるわ。 アタシが一番イイオンナだってことが。
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