第24回1000字小説バトル
Entry13
「あなた、お酒が好きよね」そう言って彼女は微笑む。 ああ、俺は、たくさんは飲めないけれど、飲む雰囲気が好きだ。 特におまえと飲むのは好きだし幸せだよ・・・。 「ねぇ、ギターを弾くの、好きだったわよね。 それに時々、私のために弾いてくれたわね」 ・・・・・・そうだったね。 「あなたの弾く、子守り歌みたいな静かな曲が好きだったわ。」 そうかい・・・我流のフォークギターだから本当に巧い人には全然 かなわないけどなぁ。クラッシックギターの人なんかにはさ。 「静かな夜に二人でビデオをみるのも楽しかった」 そうだね、楽しかったね。 「何でもない時に私に見つめられて、きょとんとした あなたの表情が好きよ」 いいじゃないか、俺は、アガリ症なんだよっ。 「何年か前に私の実家(いえ)に遊びにきて、母さんに 話しをしていたわね。『ゆきこさんを幸せにします』って」 ああ、何年前かなそれ、照れくさいじゃないか。 「母さん、あのあと泣きながら、私に良かったねって 言ってくれたのよ」 そうか、あのお母さんがね。 「あなたと私のこと、お母さんはわかっていたみたい」 そうか、そうだよなぁ。どう見ても、そういう二人だよな 「ね、あなた、私のこと愛してくれたの、嬉しかったわ」 あ・・・ああ、うん・・・ 「ね、あなた、何度も抱いてくれたの、嬉しかったわ」 あ・・・ああ、うん・・・ 「ね、あなた、そばにいてくれたの、嬉しかったわ」 あ・・・ああ、うん・・・ 「ありがとう、あなた。私、出かけて来るわね。お仕事なの」 そう言って彼女は、仏壇に祀られた俺の写真の前を離れた。
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