第24回1000字小説バトル
Entry24

song for the asking

作者 : くるり
Website :
文字数 : 590
別れたつもりだった人から手紙が来た。 
手紙は開けないでゴミ箱に捨てた。 
新しい彼氏もいるし。 
女は残酷、男は馬鹿。 

2週間後、また手紙が来た。差出人は書いてないけど筆跡で誰かく
らいわかる。 
「長瀬理名様」まっすぐ書けない人だった。いつも右に片寄ってい
た。癖のある文字。 
いつも「理名」だけがきれいに書かれていた。 
「電話してくればいいのに」 
私が電話を取らないことくらい彼は知ってる。 
その手紙もゴミ箱に捨てようとしたけど、開けてみた。手紙が2枚
入っていた。 
やっぱり捨てた。 
「未練残すくらいなら別れなきゃよかったじゃない」 
なんとなく独りで言ってみた。私から離れていったのに。 

1週間後、また手紙が来た。封筒の裏に「これで最後」と書かれて
いた。 
最初なんてなかった。突然手紙が来て。突然これで最後なんて。 
カッコばっかりつけて、何も捨てられない人だった。 
封筒を開けた。丁寧に。もしも手紙がこの封筒いっぱいに入ってた
ら手紙が破れるから。 
そんなこと心配する必要なんてないのに。
男は残酷、女は馬鹿。 
中には小さくたたまれた手紙が1枚入っている。 
歌が流れているような気がした。 

それから手紙は来なくなった。彼からの手紙も読まないままに。 






インディーズバトルマガジン QBOOKS
◆QBOOKSに掲載の記事・写真・作品・画像等の無断転載を禁止します。
◆作品の著作権は各作者に帰属します。掲載記事に関する編集編纂はQBOOKSのQ書房が優先します。
◆リンク類は編集上予告なくはずす場合がありますのでご了承ください。
◆スタッフ/マニエリストQ・3104・蛮人S・吾心・厚篠孝介・三月・羽那沖権八・北村曉