呪いの部屋
藤丸
格安の部屋。
都心近くのアパートにしては、格安の家賃である。
(掘り出し物だ)
男は、満足であった。
東京の大学に受かり、田舎から都心へ移った男。金のかかる一人暮らしをするのに、この格安の部屋は、まさに好都合であった。
しかし。・・・
部屋に移ってほどなく、不可解な事が続いた。
床に落ちてる、長い髪の毛。
(・・・・?)
男の髪の毛ではない。男は坊主頭であるのだ。明らかに、男の髪の毛ではない。
(はて。・・・?)
部屋に移った後、掃除はきっちりとしておいたはずだ。
女の人を部屋に入れた覚えもない。
それなのに、その長い髪の毛は床だけに限らず、台所、トイレ、布団の上・・・。いたる所で発見された。
(・・・・)
不信に思う男。
その不信が「恐怖」に変わったのは、入浴の際であった。
湯船に浮かぶ、長い、長い髪の毛。
「ヒイッ」
男は風呂場を飛び出て、服を着替え、部屋を飛び出した。
おかしい。絶対におかしい。男は坊主頭なのだ。男の髪の毛ではない。ならば他の誰かの髪の毛だ。
そう、他の誰かの髪の毛が・・・。
男が駆け込んだのは、大学で知り合った友人の部屋であった。
震える声で、今までの経緯を説明する男。
「・・・そうか」
友人は、深く息を吐いた。
格安のアパートなんかには、よくある話である。
「とにかく、着替えろよ」
ギロリ。と男を見ると、友人は言った。
走ってきたのであろう。男の衣服は汗でベタベタになっていた。
「すまんな」
服を脱ぎだす男。
「まあ・・・、多少金はかかるが、その部屋は出た方がいいかもな・・・」
何気なく、男の身体に目をやる友人。
「・・・・!」
瞬間、ギョッとした。
「お、おい。お前・・・」
男の身体を指差し、友人は言った。
「毛深いな」
まるで、ジャングルだ。
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