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アルマジロ 三月 突入して5分は経ったはずだ。私とカメラマンのドナルドは家の東側、傾斜になっている地面に身を伏せていた。暗闇の中を時折の叫び声、銃声。 「――まだ捕まんないんですかね」ドナルドが言った。 「黙ってろ」私は答えた。 ここミシシッピ州ではすでに8人がやつの犠牲になっていた。8人目の犠牲者は赤い髪の少女だった。名前はロドリー・ウィンコット。 やつは、ポーチにいたロドリーの背後に忍び寄り、首に強烈な一撃を加えた。即死だったらしい。ロドリーは、唇が少しめくれたような、かわいらしい少女だった。 二日経って今日、やつが民家を占拠しているという極秘情報が入った。 二階の窓から鮮烈な光が走った。直後に窓ガラスが割れ、やつの、丸い姿が空を舞った。 「撮れ!」 ドナルドはすでにシャッターを切っていた。一階にはすでに別働隊が、文字通り、「網を」張っていたのだ。 やつの丸い身体は網の中に落ちた。 「撮れたか」 「と、撮りました」 「よし」 そのとき、だった。 がさり。 背後に物音がした。 私はハンドライトをかざした。斜面を楕円が走る。でこぼこの地面に、ちろりと黒いものが見えた。 ドナルドがぽかんと口を開けた。 のびた尻尾、かさぶたのような肌――間違いない、やつだった。 私はペアで行動している可能性を忘れていた。今までの目撃証言がすべて単独だったせいだ。 アルマジロは、私をにらみつけていた。つぶらな目がきらきらしていた。突然変異により人を襲うアルマジロ。このアルマジロはロドリーを殺したアルマジロなのだろうか。 私はアルマジロの姿を注視していた。 背中に汗が流れた。 瞬間、光の中からアルマジロは消えた。 私が気がつくのと、ドナルドが叫び、激しい音がするのとは同時だった。 「ドナルド!」 光を当てると、頭を抱えてうずくまるドナルドがいた。暗闇を駆け抜ける素早い足音が聞こえた。 助かったのか……? 私は呆然としてライトをおろした。光の輪の中に見るも無惨なカメラの姿があった。 仲間の捕まった写真など撮らせないってことか――私は考えて、やつらの団結力に背筋が冷たくなった。 私は振り返る。SWATの連中が、何か檻のようなものを運ぶ姿が目に入った。さらにその向こう、暗がりにきらきらと光るものが見えた。私は後じさりした。ドナルドをおいて車まで疾走した。叫び声が聞こえた。私の背後から小さな足音が迫ってきた。私は耳をふさいだ。 |
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Website : 狭土蒼穹 文字数 : 1000 |