第27回1000字小説バトル結果
第27回1000字バトルの結果は、犬吉さんの『夏の終わりに』がチャンピオン作品と決まりました。
犬吉さん、おめでとうございます!
皆さま、ご投票いただきましてありがとうございました。
※投票いただいた方へ:「投票したはずの一票が入ってない!」「私の感想文がない!」このような事がございましたら、直ちにご連絡いただけますようお願い申し上げます。
※☆が実際の得票の数を表しています。★は「次点」「他に面白かったもの」といった感想の合計です。集計には含まれません。
| 作品(作者名:敬称略) | 得票 |
| 夏の終わりに(犬吉) | ☆☆☆☆☆☆★★ |
| 帰れない道(アリヨシ イズミ) | ☆☆☆☆★ |
| 右手のことで(アナトー・シキソ) | ☆☆ |
| 南十字星の下で(伊勢湊) | ☆☆★★ |
| BAR 止まり木「ファイナルアンサー」(マー君) | ☆☆ |
| 小さな光(黒崎信介) | ☆★ |
| おもちゃ(山田せばすちゃん) | ☆★★★★ |
『逃亡の画家』展 −ヤホン=アーロソ生誕百周年を記念して− (るるるぶ☆どっぐちゃん) | ☆ |
| ウジになってから思うこと(綾重寄之介) | ☆ |
| 指名手配(越冬こあら) | ☆★ |
| 白昼夢(田口与四郎) | ★ |
| まっしろいマーヴリング(樹 珪) | ★★ |
| 夫と妻の記念日(のぼりん) | ★★ |
| メケメケがくれたチョコレート(nekonet) | ★ |
| 新工場(やみさき) | ★★★ |
| 月(大石 伸一) | ★ |
| 痴呆症(上條 裕) | ★ |
| ささやかな雨(かんと) | ★ |
| 大好きなものを諦めるには?(lapis) | ★ |
| もぐら純情(有馬次郎) | ★ |
| 夢省(羽那沖権八) | ★★★★ |
| Want some dope?(太郎丸) | ★ |
| 私の卵(彩霞) | ★★★ |
| セブンスター(谷本みゆき) | ★ |
| MILKY MEMORY(AD) | ★★★ |
| 「友達」という名の枠(瑠璃嬢) | ★★★★ |
- 夏の終わりに (犬吉)
- 文句ありません。
- テーマとしてありふれているのかもしれないが、完成度の面から言っても、前半から後半への展開のうまさから言っても、筆頭は揺るぎ無いと思う。
なお、言及しておきたい作品は、「白昼夢」「まっしろいマーヴリング」。
前者は、
>彼女はアイスコーヒーをストローでカラカラかき混ぜた。
の一文が秀逸だったが、意味のとれない部分があり残念。
後者は、後半部の空白が効果的で特筆すべきだが、やはり意味のとれない部分があり残念。 以上迷惑なだけの感想票。
- 今回の作品は、飛び抜けたものは感じられなかった。
投票する今でも思いだされる作品はあまり思い浮かばない。
再度、見直してますと。ああ、これよかったな。といったものが、数作品ありましたので、その中から選びます。「新工場」「月」「おもちゃ」「夏の終りに」「夢省」「南十字星の下で」「私の卵」「友達という名の枠」と、なぜかだらだらと書いてしまった。これに近い作品もまだいっぱいあるのですが、切りがなかったので以上の中から選びました。やはり、飛び抜けた作品がないのが寂しかったですね。
- なんか、柔らかく、確かな愛を感じました。
実は、時間とれなくて、31日に書いてます。
なので、しっかり感想かけなくてすみません。
他には、7、9、14、18にひかれました。
- 今回は私自信の気分の所為もあってか、あまり読みとれていないし、途中で入った感想の嵐(笑)の所為ではありませんが、なんだか読んでいて、小説ってこういうものなんだろうかという疑問さえ湧いてきてしまった作品が多かった気がしてしまいました。しかしまぁ投票ですからという事で、第一印象で気になった作品から選びたいと思います。で、気になったのは、以下の8作品です。
『夫と妻の記念日』 話は面白いが、最近こういうただ面白いだけのための話というのに飽きてきた。
『新工場』ネタとしては面白いわけではないが、単純に笑えた。
『おもちゃ』テーマが素敵。話としてはありがちだが、なかなか面白い。
『痴呆症』ちょっと悲しい話だが、作品としては面白い。
『夏の終わりに』ちょっと感動的。涙腺が弱い私にはなかなか良かった。
『指名手配』軽いネタだが、それなりに可笑しい。
『MILKY MEMORY』特にどうという事もないが、なんか可笑しい。
『「友達」という名の枠』ちょっと考えさせられた。
で、この中から勝手に私の感性で選ばせて貰おうと思いました。
『夫と妻…』『新工場』『指名手配』『MILKY MEMORY』についてはQBOOKSのメインともいえる系統の話ですが、最近こういう小説に飽きてきたのもあって、パスします(とは言いながら私もこういう系統の話ばかり書いてはいますが…)
残った4つの『おもちゃ』『夏の終わりに』『痴呆症』『「友達」という…』
の中から選んでしまいます。
『痴呆症』に関してはミステリー仕立ての作品でありながら、それを小さな女の子の視点で描く事で、恐さを取り除いており、作者の細やかさが覗えますが、逆にその為に話が収まりきれていない感じがしてしまいました。
『「友達」という…』については、ちょっとストレート過ぎて小説としての昇華が不充分な感じがしました。
『おもちゃ』で表現されているモノへの拘りが、子供との対比で不要になったら捨ててしまうという大人の不誠実さと、ラストでの子供への対応とがしっくりこないと感じてしまいました。
『夏の終わりに』については、こういう話って誰か書いてるよなぁなんて思いもありますが、なんだか妙にツボを刺激してしまったので、今回は犬吉さんに1票を投じます。
- 「夏の終りに」犬吉――を推薦する。
はっきり言ってこの作者は文章にたいしてそこまで思い入れはないんだろう。「、」と「,」ぐらい、ちゃんと使い分けて欲しい。
しかし、書かれているモチーフが、ありきたりながらも最後にぐっとこさせている。ぐっときた。きてしまった。だから〇。一票。
以下次点。
「夢省」羽那沖権八
よく書けている。安心して読める。アイディアだけではなく通常の小説としても通用しそうな最後の締めくくりが用意してある。
「『友達』という名の枠」瑠璃嬢
はっきり言えばこれは小説ではない。日記か、作文か。最後にまとめがあるのもいただけない。
しかし、共感できる。内容について、賛否は別れるかもしれないが、この主人公の気持ちは、よくわかる。
- 帰れない道(アリヨシ イズミ)
- 文章の中に 言葉の表現があまりない分 状況、背景、感情がリアルに表れていると思います 主人公が母親や男性に抱く感情は 一見「最近の子は無感情」を現しているように思え冷たい感じを受けますが 感情表現せずに自分を守りながら毎日を必死に生きている強さを感じます 読んだ後に 「あの子最近どうしてるのかな?」。。。なんて考えてしまいそうな 頭に残る作品でした
- 不調和な時間の中で出会った「彼」との一瞬は、あくまでも一瞬であって、
二人の歯車はその時にただ噛み合っただけ。
日常の中で、恋とは..ちょっと違う絆が生まれた静かな瞬間が、切ない。
どんなに長く付き合っている恋人や友人でも、もしかしたら味わえなかった
時間を共有してしまった二人は、やはり、同じ道は歩かない。
最初の方で先は読める雰囲気ではあったが、静寂な文の中で、主人公の感情が揺さぶられるところの表現は、無彩色の絵にぽつんと挿し色が効いているようだ。
潔い文の終わり方も、とてもこの話に合っている。
- 好きな感じ
- 肌を刺す冷たい夜にビールというのは文字どおり寒いけど
(僕は寒がりなのです)こういう雰囲気がある作品は好きです。
すれ違う帰り道、抜けられないそれぞれの道。そこにある
悲しさが美しく描かれています。
僕は雰囲気のあるものがとても好きなので今回はとても楽しめました。
「おもちゃ」「夏の終わりに」「もぐら純情」「「友達」という名の枠」
などが好きです。そして 「MILKY MEMORY」。これと「帰れない道」
で迷いましたが、風景がより見えたので「帰れない道」にしました。
- 右手のことで(アナトー・シキソ)
- 今回は好きな作品が多く、読みごたえがありました。
私の心のベスト5作品を発表します。(誰も訊いてないって)
第1位 「右手のことで」アナトー・シキソさん
→ 心の中から湧き出たものを、一気に書き上げたような勢いを感じま
した。文章のテンポも◎。心の生絞りジュースみたいでよかったです。
第2位 「小さな光」黒崎信介さん
→ 強い木漏れ日のように行間から溢れ出す光を感じる素晴らしい作品。
引合いに出して申し訳ないですが、前回チャンピオンもるもるさん
が描かれていた小さな光より、こちらの方がはるかにリアル。
字数が1000字しかなく、中盤が説明的になった点が惜しまれます。
第3位 「ささやかな雨」かんとさん
→ 特別、言葉を飾っていないのに、一文一語、どれも魅力的です。
でも擬音の多用が気になります。ドサッと、ガサガサ、モゴモゴ、
クルクル、キョロキョロ。がさつな言葉たちが、静かで澄んだ文章
を乱している気がしました。擬音がなくても支障ないと思います。
第4位 「まっしろいマーヴリング」樹 珪さん
→ 空白行の使い方が面白いです。紙に印刷してみるとよく分かります。
大変失礼ですが、凝りに凝った文章より、空白に魅力があります。
多くを語らない姿勢は支持します。しかし、省略が過ぎて、登場人
物が何を言おうとしているのか分からない部分があります。
第5位 「帰れない道」アリヨシイズミさん
→ 文が練られている。言葉を上手に操っている。場面の繋ぎ方も秀逸。
きっと私が投票しなくても、この作品にはたくさん票が入るでしょう。
今月のスポットライト「MILKY MEMORY」ADさん
→ 高校時代の思い出総集編みたいで楽しかったです。語り口も上手い。
- よくわからないストーリーに引き込まれてしまい、思わず「断面」を思い浮かべてしまいました。「やられたー」という感じです。まいりました。
- 南十字星の下で(伊勢湊)
- 「南十字星の下で」
粋で上手くてムードが伝わる作品でした。
「私の卵」
この卵への想像が、「私」の人物を見せてくれてると思います。
「セブンスター」
大人の女性の作品でした。森瑶子さんが私は好きだったんですけど、思い出しました。
- 恋愛ものやサスペンスのような作品が多い中、印象に残ったのがこの作品でした。
「結局僕らはワインを使った。車を止めて南十字星の下、栓を開けて自分達の口に流し込んだ。」とか「今日はずいぶん走ったしこのまま行けば明日には町に着けるだろう。ただし、このままいけば。」の部分は、上手く裏切られたという感じです。
全体の面白おかしい雰囲気も気に入りました。
ただ、タイトルはもう少しどうにかした方がいいと思います。作品の中での南十字星の存在が小さすぎるので、タイトルにするには適していないと思います。
- BAR 止まり木「ファイナルアンサー」(マー君)
- 新旧の交代と言っていいくらいに、参加メンバーがこの1年で様変わりしましたね。作品イメージと作者の名前を知っている人が37作品中9人です。今回は僕的には印象の薄い作品が多かったように思います。新しい人では犬吉さんの「夏の終わりに」、マー君の「BAR止まり木ファイナルアンサー」が好きです。好きな作風で5作品選びました。前述の2作品と「南十字星の下で」、「夢省」、「Want some dope?」です。今回は、ネタばれで、ちょっぴりザキな雰囲気の漂うマー君の作風に賭けてみたくなりました。
面白かったです。展開もスムーズで読みやすかったし、女性の色っぽさも出てます。
- 私は、マスターと言えば「笑ゥせぇるすまん」の『魔の巣』のマスターを思い浮かべます。彼は、ダンディーなマスターそのものだと私は思っています。だから、こう思うのですが、「止まり木」のマスターはずいぶん幼い感じがします。妹のセクシー差と比較されてしまい、少し浮いています。そのために、姉の自殺が、うさんんくさくなっています。マスターに「真二」という名前をもたせたことも、幼さを感じさせるひとつです。内容としては、「若いバーテンと謎のセクシー美女」の設定のほうがしっくりきます。
女性をセクシーに書けると言うのは、ひとつの才能です。
男性も素敵に書けたなら、もっと良かったと思います。
- 小さな光(黒崎信介)
- とても読みやすかったです。きれいにまとめられていて、蛍と「俺」とのやり取りがすごくきれいでした。気が遠くなっていく感じがとても良く表現されていて、
そして蛍が「俺」を自分たちが住む川まで導くシーンが頭の中で鮮明に浮かべられました。
- おもちゃ(山田せばすちゃん)
- 所詮、人間には、いつまでも おもちゃが必要で、特に男には オンナが
究極のおもちゃなのです。その真理をよくついておられるすばらしい
作品だと思います。
- 『逃亡の画家』展 −ヤホン=アーロソ生誕百周年を記念して(るるるぶ☆どっぐちゃん)
- るるるぶ☆どっぐちゃん さんの「『逃亡の画家』展 −ヤホン=アーロソ生誕百周年を記念して−」(長いよ)を推します。以下、良かったと思う三作品について。
12 新工場 やみさき さん
リアリティという点ではツッコミどころ満載なのですが、意外性と馬鹿馬鹿しさを併せ持っていて印象に残った作品。結局この手のストーリーへの評価は、いかに楽しく読者が振り回されるかにかかっている気がしますが、そういう点で悪くなかったと思います。
26 夢省 羽那沖権八 さん
生まれたときから役所に適性チェックされて事実上職業を限定される社会。こわいですね。本来、人間形成は親の仕事であり、社会文化の継承として、親による職業の方向付けはあってよいと思います。でもまともでない親には大抵はまともでない子しか育たず、責任の転嫁を続けるうちに最後は国に御鉢が回され、そしてついにはこの作品のような社会になるのでしょうか。これは作者の真意とは違うかもしれませんが、私にはそういう逆説的主張が感じられました。
20 『逃亡の画家』展 −ヤホン=アーロソ生誕百周年を記念して− るるるぶ☆どっぐちゃん さん
絵の男女が誰であるかによって多少解釈が変わる気がします。これがテキトーなどっかの美形男女の場合。 えー、報われない画家は死後評価されたりする場合もあるらしいですが、しかし理想から遠く離れて辿り着けなかったヤホン、その生涯を賭けたメッセージ、虚構の美を自らの血で包んだ、せめてもの敗戦の弁ともいえる芸術行為をあっさり洗い流されて、職業絵師に偽りの美を「完成」されたのでは浮かばれません。可哀想すぎるぞヤホン。化けて出るかヤホン。
描かれていたのが両親だとすれば、多少ヤホンは救われています。ただ絵はやはりヤホンの血を合わせて完成形(またはそれに近づいたもの)であり、様式美だけを重んずる者たちに生涯一の作品を破壊され、不当な好評価をあてがわれている事には変わりないのですが、まあすっかり逃亡しきってしまったヤホンにはどうでもいい事でしょう。というわけで判断に迷うところがあるのですが、その辺りも含めて面白く読ませていただきました。読み違っていたらすみません。1000文字はあまりに短く、その中で全てを語れば饒舌に過ぎる気がします。あーだこーだ考える方が面白い。たとえ間違ってても(おい)。問題はどうやってそこまで読ませるか、なのですが。ところで「スケッチ」は「デッサン」のほうが良かったかも。でも絵が示す意味的には「スケッチ」がいいのかも。
- ウジになってから思うこと(綾重寄之介)
- 作品はあくまで「ウジ」の視点で書いてあるのだが、死者の「記憶を受け継ぐことが出来たらしい」ことと、何と言っても題名が、うまい具合に「転生」みたいなことを暗示していて、ラストシーンでは、この自殺者にさりげない慰めが与えられているようだった。
他に一読して気になったのは『私の卵』彩霞さん。主人公が摂食障害になった由来は書いてないが、何か想像を誘うものがあった。これも最後に何かささやかな希望が与えられているような作品である。
- 指名手配(越冬こあら)
- 荒唐無稽でありつつも微妙に共感が湧き、現実社会の合わせ鏡としての性質を持つきっちりとしたオチ。そして、どさくさに紛れて張られた強引な伏線がピリリと効いて、ありがちなショートショートを一つ上のコメディに昇華させている。
綺麗に決まったショートショートを読むのは、楽しいとか考えさせられるとか言う以前に気持ちが良い。かくありたいものである。

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