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第36回1000字小説バトル Entry16

夢見草

私の名前は深森美咲…私は今、一輪の花を手にしている…
その花の名は「夢見草」その花の蜜を飲むことによって
永遠に夢を見続けることができる…つまり死んでしまうのである
さて…もう使っちゃおうかしら…もうこんな現実にはうんざりだよ…
(コンコン…)そんなことを考えていると突然部屋のドアがノックされる
「美咲〜お客さんが来てるよ!!」どうやら母さんらしい
私に用がある人が来るのなんて何ヶ月ぶりだろう
もう私が学校に行かなくなってから3ヶ月になる
その間一回も私に用がある人なんていなかったのに…
「わかった…すぐに行くよ」
そう返事すると私は部屋を出て玄関へ向かった

(かちゃ)
「やっほ〜美咲ちゃん♪お久しぶり〜」
玄関のドアをドアをあけるとそこには学校の同級生だった小夜子がいた。
「えっと…小夜ちゃんであってるんだよね?」さすがの私でも
三ヶ月あっていないと本当にそうだったっけ?と疑ってしまう
「うん♪ねぇねぇ…今暇かな?」
「ま、まぁ暇だけど…それがどうかしたの?」
いきなり何を聞いてくるのかと思いつつそう返事する
「じゃあ…私についてきてくれるかな?」
と照れくさそうに言う小夜子に
私はいわれるままついていった…もちろん夢見草を持ったままで…

小夜子についていってついた場所はある小さな喫茶店だった
「ねぇ…ここでいいの?」私はちょっと不安になって尋ねる
「うん♪さぁ…早くはいろうよ」
そういって小夜子は先に中に入っていく
(カランカラン)恐る恐るドアをあける…すると
『お誕生日おめでと〜』と言う声と共にクラッカーの音が鳴り響いた
「な、何なのいったい…」
「今日は美咲ちゃんの誕生日でしょ?だからみんなでお祝いしようって事にしたの」
状況が理解できない私に小夜子が説明してくれる
「え、何で…私なんかのために?」
確かに今日は私の誕生日。けど誰も祝ってくれるはずが無い…そう思っていた
「決まってるじゃない…友だちだからだよ♪」
「友だち?私のことを友だちって思ってくれてたの?今まで…」
思わず涙が出そうになるのをおさえてそう言う
「当たり前じゃない…ほら、みんなもそう思ってるよ」
そういわれて周りにいるみんなの顔を見る…
「うん…そうだね…」
とめどなく涙が出てくるのを拭ってそう言う
その時私は確信した…私にあの花は必要ないことを
夢を見続けるより…現実の方が素晴らしいことに気付いたから…
「さ!お誕生日会を始めようよ!!」小夜子がそう言う
「…うん!!」

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