第53回1000字バトル結果

おめでとうございます!
今月のチャンピオン作品は、大乱戦をからくも抜け出した
るるるぶ☆どっぐちゃんさん作 「チョコレートサンデー」です。


エントリ作品作者得票
 
23チョコレートサンデーるるるぶ☆どっぐちゃん3
 
1じいさんときなこ 中川きよみ 2
2飼育有機機械2
9不思議な易者満峰貴久2
15ミニトン越冬こあら2
18怪物日向さち2
19膝を曲げて息を吐け。アナトー・シキソ2
20あのね、パパはね太郎丸2
22葬むらんながしろばんり2
 
8ストロベリー&バニラの赤いハーブティー檸檬1
10マッチ・ポイント長田一葉1
12ドッペルハンマーパーティー1
16蛙飛び出す土筆 1
17クローズ鈴矢大門1



感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
万一、掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願い申し上げます。



推薦作品と感想
チョコレートサンデー  るるるぶ☆どっぐちゃんさん
 
感想:「じいさんときなこ」中川きよみ
ホントはいい話なんだけど、全体の印象が、なんとなく、殺伐というか、トゲトゲしてる。
そのトゲトゲ感が、作品のモチーフを、見えにくくしている気がする。

「ムカシムカシアルトコロニ」スナ2号
これはちょっと、ウマく出来てる。化け物。目の見えない少女は化け物を恐れない。化け物は、目が見えるようになった少女の、自分を見て恐れる姿に我を忘れ、少女を襲い、食うことで、「本物の化け物」になる。ある時訪れる、退路を決定的に断ってしまう契機というものが、人を作る。


「マッチ・ポイント」長田一葉
ただもうストレートにバドミントンの試合の描写。新鮮だった。
でも千字ぴったりじゃないんで、入れない。あー、もったいない。

「あの時の薊(アザミ)」さとう啓介
相変わらず、真っ向勝負の小細工なしの文学やなあ。

「ミニトン」越冬こあら
ミニトン、食うなよ。飼えよ。ミニトン、内臓そのまま食っちゃうのかな? 
焼き色のついたミニトン達が、皿の上で、湯気出してる絵が見える。

「蛙飛び出す」土筆
カエルがいい。カエルが。で、カエルッパって何?
無類のカエル好きとしては、是非1票入れたいところだが、千字ぴったりじゃないから。

「クローズ」鈴矢大門
ワカモノな感じが、ちょっと、気恥ずかしさを通り越して、清々しい。
昔あった道徳の教科書の「歯車」とかに出てそう。
でもやっぱり一字字余りだから、票入れない。

「怪物」日向さち
こういう話は好きだなあ。誰にでもあるはずの、幼児期の未開人的世界観に満たされた、なんとなくダークな世界の記憶。

「チョコレートサンデー」るるるぶ☆どっぐちゃん
マンガ雑誌じゃない雑誌の、半分から後ろ辺りに連載されてる女流漫画家(という呼び方があるかどうかは知らんが)のマンガみたいだ。


ミニトンとチョコレートサンデーで迷ったけど、ま、「チョコレートサンデー」で頼みます。あ、あと、コーヒー、ブラックで。


(アナトー?
票者:QBOOKS登録作者


感想:可愛いオンナノコと可愛いモチーフと可愛くない話。

膝を曲げて息を吐け。と迷うも、
アナトー氏の書くものは最早小説ではないきがするのでこちらへ。

こんかい。おおっ!となるものはなかった気がする。年の瀬だからですか。
票者:QBOOKS登録作者


感想:なんでサンデーなのか、とか幾つかの疑問は残るものの、今回の中では、読んでいて1番楽しかった。2人の関係がちょっと怪しげなところは嫌だけど、不条理なところが良いし、文章自体にも味がある。
以前の作品と比べて、エピソードが放りっぱなしになっていないところが、成長したなぁと思う。インリンが賭けに強い理由は明らかになっていないのだけれど、ちょうど良いバランスで読者に委ねているような気がした。こじんまりとせず、詰め込みすぎでなく、独特の世界観が成り立っていて、良い。

次点はごんぱちさん。オチでこじんまりとしてしまったが、全体的な温かさに強く惹かれた。会話も面白くて、古事記のあたりが特に好き。今回、題名のみでは私の中で1等賞。
(日向さち)
票者:QBOOKS登録作者


じいさんときなこ   中川きよみ さん
 
感想:昔話風のおっとりした雰囲気が良かった。最後のところがとても良い。
ただ、二人の仲があやふやで、仲がよいのか悪いのか、金がかかるというだけで子供は作らないし、いたわりあっているのかと思うと違うようだし、その辺の設定に不満が残る。
票者:QBOOKS登録作者


感想:この作品、最初に読んだときにはどちらかが生きていると思ってたら、両方お亡くなりになっているのですね。じいさんとばあさんの関係が人間臭くてとても良かった。この世に未練なんて無いのかもしれない。ただ、じいさんがばあさんを、ばあさんがじいさんを、ほんとうは頼りにしていたのだろうな、という感じがよかったです。
票者:QBOOKS登録作者



飼育      有機機械 さん
 
感想:心持ちの変化が痛いように表現され、わかります。
個人的には、コレと似たような話を先日友人と
話し合ったばかりなので、余計に刺さってしまいました。


『じいさんときなこ』
『ムカシムカシアルトコロニ』
『ミニトン』
と迷いましたが、僅差でこの作品に一票を投じることにしました。
票者:QBOOKS登録作者


感想:今年はこの手の犯罪がやけに多かった気がするなぁ。
新潟のアレじゃないけど娘にまでしてしまうかぁ。……
これって何とかシンドロームってやつですかね?
被害者が加害者に好意を寄せてしまうって。
さゆりの主人公への反応をもう少し見たかった気がするけど、
年の瀬の一年を振り返っている時期にはこれがインパクトありました。
票者:QBOOKS登録作者



不思議な易者  満峰貴久さん
 
感想:最後の一文が効きました。実はそここそが地獄だったという設定かと思ったので(勝手な)錯覚も含めて1000字ならではのおもしろさがありました。
票者:QBOOKS登録作者



感想:オチはありがちでしたが、ひとりよがりでない文章できれいにすっきりまとめていらしたので好感がもてました。
票者:QBOOKS登録作者



ミニトン  越冬こあらさん
 
感想:久々に、一回読んだだけでこの話に決めました。可愛らしいミニトンを食べてしまう(しかも残酷に)後味の悪い話だったのですが、そこがまたインパクトが大きかったです。なんとも考えさせられる話でした。
一位は(自分の中の)決まりですが、他にも気になる話が幾つかありました。
アナトーさん作「膝を曲げて息を吐け」。背景の描写がうますぎます。
満峰さん作「不思議な易者」。正体不明の易者と、この世=地獄というアイディアが意外で面白かったです。
るるるぶさん作「チョコレートサンデー」。客観的な世界が、外国っぽくていい雰囲気だと思いました。
犬宮さん作「ソダツ。」異世界のような独特さに惹かれました。
あと、今回多かった恋愛物の中では、檸檬さんの「ストロベリー&バニラの赤いハーブティー」が一番よかったです。紅茶が飲みたくなりました。
票者:QBOOKS登録作者



感想:これ、最高です。
最後の「ゾクゾク」からラスト一行が、めちゃくちゃツボです。
票者:QBOOKS登録作者



怪物  日向さちさん
 
感想: 「蛙飛び出す」「怪物」「ストロベリー&バニラの赤いハーブティー」の三点で、非常に投票に迷っている。どうするかな。初めは「ストロベリー〜」かな、と思い、でも、土筆さんは最近の作品が好きなので併せ技で一票、いやでも、今回のさっちんは、マジ好みだわぁ、などとグルグル巡った挙句、結局一番傷のないものを選ぶことにしました。<次の日は月曜日で、保育園へ行かなくてはならなかった。廊下は、逃げ出したくなるほど冷たい空気に満たされていた>なんてお定まりの締め方をうまく見せるなんて、なーかなかできないと思うのだ。よって、次点は土筆さんと檸檬さん。
 今回のさっちんを見てしまうと、次回がとても不安だけれども。(M)
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感想:ながしろばんりさんの「葬らん」と迷いに迷って、読みやすさでこちらへ。しかし場外へ飛んでいった首の鮮烈なイメージは忘れ難い。
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膝を曲げて息を吐け。  アナトー・シキソさん
 
感想:この緊張感。この情景描写。
伏線を匂わすような<ボリス>との会話。
ハードボイルドでかっこいい。いやもう最高。
いまだかつて、1000字小説にこんなに萌えたことはありません。
現時点でのアナトー作品のマイベストです。
続きが早く読みたくてたまりません。


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感想:イメージの広がりが、すごかった!よかった、です。

次点は、『ミニトン』の越冬こあら氏。
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あのね、パパはね  太郎丸さん
 
感想:投票候補は8と20と21。悩んだ末、太郎丸さんに。
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感想:細かい点は別にして、とにかくプレゼントを配る場面に感動しました。
同じプレゼントがもらう人によって変わるというアイディアもとても新鮮でした。
これからも心暖まる小説を楽しみにしています。

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葬むらん  ながしろばんりさん
 
感想: 葬むらんと言えば、『究極超人あーる』で、鳥坂センパイが言っていたのを思い出す。いや、むしろ元ネタか?
 で、「内角低め」ううむ、アホっぽい。素敵。
 ただ、ジーパンの時も思ったけれど、MAOさんの時代劇調は、少しやりすぎで、読みづらさがマイナスに働いているように思える。シバレンぐらいくだけた口調でも大丈夫なネタだと思う。うん。

 次点は、太郎丸さんの『あのね、パパはね』。
 服に身体が合ってしまう辺りは、何となく体重指定のあるサンタ認定を思い起こさせ、「軍服に身体を合わせろ」みたいな皮肉とも見えて、結構笑える。後、プレゼント描写が良い。
票者:QBOOKS登録作者


感想:今回はこあらさんの「ミニトン」とばんりさんの「葬むらん」が特に気にいった。
「ミニトン」のあのラストのオチは最高だし、「葬むらん」の時代物めいた文章に載せた野球のパロディが楽しい。どっちにしようか考えた末に、あの難解そうな文章を書いてしまうばんりさんに一票。

票者:QBOOKS登録作者


ストロベリー&バニラの赤いハーブティー  檸檬さん
 
感想:「ストリベリー&バニラの赤いハーブティー」
感情をすごくおさえた描写が胸に来ました。今回、これにします。
「葬むらん」
このアイデアはすごい。細部へのこだわりに満ちた文章がそのアイデアをさらに力強くサポートしている。うまいです・・・。
「膝を曲げて息を吐け。」
キれる文章というのはこういうのをいうのだろうな。スパスパ切れる感じ、センスあふれる言葉の選び方とロックのリズム、カッコいいです。
「怪物」
子供のころ、自分はこんなに繊細ではなかったので(ただのバカ)、いや、たとえ繊細だったとしてもこんな風にきちんと思いだして(想像であれ)、絶対に書けない。うらやましい。
「クローズ」
「父の死」がなければ感情移入して読めたかもしれない、けど、「父の死」から出発しているみたいだし。でもとてもいい文章で感心しました。

票者:QBOOKS登録作者


マッチ・ポイント  長田一葉さん
 
感想:1000字に起承転結とかオチとか物語性とかそういうものをどこまで求め
るかにもよるが、潔くて好き。スポーツもの得意ですね。
票者:QBOOKS登録作者


ドッペル  ハンマーパーティーさん
 
感想:一人称の使い分けで話を作ったアイディアが良いと思いました。
票者:QBOOKS登録作者



蛙飛び出す  土筆 さん
 
感想:雰囲気が好みだった。
票者:QBOOKS登録作者



クローズ  鈴矢大門さん
 
感想:曇天の日にこれを読んだせいか、
心の中に妙な後味を残していった。
うん、上出来。
票者:QBOOKS登録作者







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