第86回1000字小説バトル結果


残念……ッ!
今回は票が割れてしまいました。一位得票者の人数が
得票数以上となりましたので規定によりチャンピオン作品は
ありません。

エントリ作品作者得票
05兄のうた3
10けえけえ鳥の巣にてながしろばんり3
15ワイルドフラワー・ガーデン棗樹3
01「卒業証書授与式」ようこさん2
13メロンるるるぶ☆どっぐちゃん2
02スプーン曲げ藤田揺転1
04脳内記事瓜生遼子1
08西瓜の迷産地とむOK1
12味噌屋越冬こあら1
14パッセンジャーアナトー・シキソ1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。

推薦作品と感想

■兄のうた  葱さん

感想:
家族といてもとても孤独。だけど一緒にいなくてもなんとなくつながっている。会わないんだけど会話はあって、でもなんか阻害されている。つながってはいるんだけど過去にさかのぼってもなんか阻害されてるだけど別にだからって腹が立つわけでもない・・・家族と自分についてとってもよくかけていて切ない話だと思いました。
今回はとむOKさんの西瓜の名産地とながしろばんりさんのけぇけぇ鳥の巣でと葱さんの兄のうたの3点が心に残りました
西瓜の中の生き物とっても興味があります家にきたら絶対飼ってみたいです
けぇけぇ鳥はこのままもう少しここに暮らしていろんな体験をしてもらって
その話も聞きたいなあなんて無責任なこと思いました。
越冬こあらさんの味噌屋もぶふふと笑っちゃいました。味噌を入れてくれるのがロボットねえちゃんでなく熟練味噌職人のじいさんのふしくれだった指だったらしびれちゃったと思います。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
パッと読んでみて、今回は光る作品がなく、
選ぶのに苦労しました。
その中で目に付いてのは下記作品。

「卒業証書授与式」ようこさん
これを小説で書いた発想は面白い。この作品と推薦作で迷ったのだけれど、
捻りが足りなかったように思う。単純に当て字にするより、
「そんな字をそう読ませるか!」ていう驚きが欲しかった。

スプーン曲げ 藤田揺転
読んでて目が回った。秀逸!

鴨と大根 ごんぱち
まさしく昔読んだ吉四六さんでした。うまいなあ、と思ったけど、
何かオチが物足りなかった。オリジナルも、構成はこんな感じだけれど
最後に物足りなさを感じることはなかったように思う。

さて、今回の推薦作は葱さんの「兄のうた」。
家族の反応がリアルですね。普通、フィクションって結構大げさに書いたりするものなのですが、この作品は淡々と死を日常的に書かれてあたりが素晴らしい。葱さんの文章力の賜物でもありますね。

投票者: このバトルへの参加作者

感想:
 最後の一文に痺れました。
 引きこもりの主人公を描く視点が優しくて、温かい気持ちになりました。
投票者: その他のQBOOKS参加作者

■けえけえ鳥の巣にて  ながしろばんりさん

感想:
ありえない話なのになんだか妙なリアリティがあって、「どすーん、ばさばさばさ。」という終り方がまた、可笑しくもあり哀しくもあり。

投票者: その他のQBOOKS参加作者

感想:
大根と鴨、と、葱さんの作品とこれとで迷った。
最終的に一番インパクトがあって小気味良かったので『けえけえ鳥の巣にて』を押します。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
面白かったです。でかい生物っていいですね。葱
投票者: このバトルへの参加作者

■ワイルドフラワー・ガーデン  棗樹さん

感想:
ようこさんさん(?)、小笠原さん、瓜生さん、葱さん、とむさん、こあらさん、るるるぶさん、アナトーさんと来て、素晴らしい収まりと感じた棗樹さんに投票いたします。
いや、とはいえ今月は自作を除いた全作品が面白かったです。(ぼん)
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
素敵なお話ですね。
静かな物語に酔わせて頂きました。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
「兄のうた」葱
生まれてすぐに死んだせいで、主人公がその存在すらしらない「兄」の名前を、そうとは知らず、拾ってきた子犬に付け、家族がナントナクな雰囲気に一瞬なるというストーリー。モチーフの〈重力〉が強さが展開を拒んで、それで、作者は、千字の字数をもてあましてる感じはする。

「鴨と大根」ごんぱち
寒々となる話だなあ。こんな庄屋みたいな硬直した精神の人間が増えないことを祈るよ。いや、祈りはしないけど。

「雨と踊る」千希
「彼」は何者だったんでしょう。
歌い始めたけど、なんとなく上の空って感じ。聴いてる方は、歌が終わったのか、途中で止めちゃったのか分からない感じがした。けど、嫌いな話じゃない。


「西瓜の迷産地」とむOK
シュールな世界を通り抜けて、それはそのままにしたままで、ふいっと現実に戻って、物語を締めるというカタチは、一つのスタイル。

「白紙」ぼんより
どっぐちゃんっぽいよなあ。まあ、どっぐちゃんほど、コーナーでスロットルペダルを踏み込んでいる感じはないけど、この感じは、どっぐちゃんっぽい。

「星と飴玉」霜野浩行
ええ話やねえ。最初は、「火垂るの墓」のパロディでもやるのかと思ってたら、全然違って、真っ向勝負の「ええ話モノ」やった。

「味噌屋」越冬こあら
脳みそならまだしも、タマシイまで修理交換ができるなら、もう、人間やってなくていいよな。ていうか、もう、人間じゃないよな。

「メロン」るるるぶ☆どっぐちゃん
K.モトヂロウは梶井基次郎で、この話は梶井基次郎の「レモン」へのオマージュ。アレンジ効きまくってる、どっぐちゃん版「レモン」。

「ワイルドフラワー・ガーデン」棗樹
書けてるなあ。今回はこれだろう。帰り道で、叔父が突然しゃがみ込んで、なんだと思ったら、裾についた蜘蛛の巣を払っただけ、というところが特にいい。なんか、その辺の描写を入れるところが、やるなあ、と。

というわけで、今回は、棗樹さんの「ワイルドフラワー・ガーデン」を。
ああ、もう10月か。10月は黄昏の季節だねえ。

(アナトー)
投票者: このバトルへの参加作者

■「卒業証書授与式」  ようこさんさん

感想:
原野井泰子(はらのいたいこ)の氏名があるかと思って検索したらヒットしたこのページ。とても楽しく拝見させていただきました。
また、こんなに沢山の作品がとてもスムーズに流れて感心いたしました。架空の氏名もありますが実在の方に「花岡次郎」(はなおかじろう)さんがおります。間違っても鼻をかじらないように願って「ようこさんさん」にエールを送ります。
投票者: 純粋読者

感想:
予測します。この作品が優勝します。たいしておもしろくもないけれどみなが票をいれます。
投票者: このバトルへの参加作者

■メロン  るるるぶ☆どっぐちゃんさん

感想:
エントリ13  メロン    るるるぶ☆どっぐちゃん
 舞台は近未来でしょうか。都会のねずみ田舎のねずみのような対比、好きです。文章も1000字向きのリズム感があって、上手です。


【その他の感想】
エントリ01  「卒業証書授与式」    ようこさん
 たまになど強引に感じるモノもありましたが(古田ぬき など)、よく考えつく、と驚きます。

エントリ02  スプーン曲げ    藤田揺転 さん
 グルグル、くねくねなどという擬音、オノマトペというんでしたっけ、それを多用しようという使って面白い文体にしようという意図を感じました。せっかく擬音を多用しているのですから、もっとリズム感を気をつければいい味でそうなのに――、と思いました。

エントリ03  オランピア    小笠原寿夫
 会話だけなのに、頭のなかに情景が浮かんできます。何故か「コメディ・お江戸でござる」も一緒に浮かんできました。とても書き慣れた人なのだと思いました。
 ただ困ったのは、最後の
>>「そうだ、己の非を認め……お、オイラここにはいねぇんだよ!」
 というオチの意味がわからず。そうなると『地の文もないのに誰がどの台詞を言っているのかわかるって凄い』と感じていたものが、不安になりはじめ……。

エントリ04  脳内記事    瓜生遼子
 ブラックですね。最後の行に題の登場するところが、まとまり感があっていいです。

エントリ05  兄のうた    葱
 余計な描写が多すぎます。
>>例年なら、夏休みはいよいよ家族の数が減る。
 「例年」と言われても、主人公の知り合いではないので知りません、といった気分になります。私なら「例年なら、」と「いよいよ」を削ります。
>>地面にひれ伏してしまいそうな暑さの中、
 私もよくこんな例えをしてしまうのですが。大げさで効果のない比喩だと思います。

 全体を通して、「狙い」を決めて推敲したほうがいいと思います。私だったら
>>ドロだらけの兄がきれいな小犬を拾ってきた。(数日後は削る)
 を冒頭に持っていき、全体をまるで変えます。

 他者に読まれることに意識的になれば、一気に飛躍する作者であるように感じます。

エントリ06  鴨と大根    ごんぱち
 きっちょむ話でしたっけ? そんなとんち話のパロディでしょうか。マンガチックなテンションがいいですね。

エントリ07  雨と踊る    千希
 描写いのち、雰囲気系(?)の1000字ですね。全体を通して、描写が過剰になっていて読みずらいです。
>>薄くくすんだ灰色の空
 雨がふっているのですから雲は「薄く」ないでしょう。削ったほうが自然だと思います。
 長い描写が魅力のプロの作品がありますが、それは独特のセンスがあるから成立しているのだと私は考えます。平易な描写が続いてもつまらないので、アクセント程度まで減らしたほうがよいです。
 また主人公や登場人物の動作を事細かに描写せず、飛ばし飛ばしに書いたほうがよいと思います。
 
エントリ08  西瓜の迷産地    とむOK
 不条理モノですね。気になったのは一箇所、
>>青黒い顔色で
 「白っぽいがま蛙」と前に書いてあったので不自然に感じました。「青黒く『なった』顔色で」に変えたほうがいいように思います。
 この話、つづきがあれば、彼女の妊娠が発覚しそうですね。

エントリ09  白紙    ぼんより
 大人っぽい作品。謎の白い女がいい感じです。ところで白紙の答案を出しても満点になった理由、私には思いつきません。気になってしまいました。

エントリ10  けえけえ鳥の巣にて    ながしろばんり
 面白い作品です。母鳥の「適当さ」が素晴らしい、というより、何メートルあるんでしょうね、この鳥。シンドバットに登場する怪鳥ロックよりも大きいんでしょう。

エントリ11  星と飴玉    霜野浩行
 「ほたるの墓」か? 私たちの世代(なのか知らないけど)が戦争話を書くって難しくはないかい?

エントリ12  味噌屋    越冬こあら
 展開の仕方、上手だと思いました。書き慣れている感じがしました。ただ、ありがちなショート・ショートだと思いました。

エントリ14  パッセンジャー    アナトー・シキソ
 無駄のない文章が素敵です。歌詞のように整っていますね。
 ところで。読み終えて、運転手ふうの男って誰? という疑問が沸き、続きがあったら読みたくなりました。つまり1000字で終わっていないように感じました。

エントリ15  ワイルドフラワー・ガーデン    棗樹
>>空はまだ暗く霞んでいたが、 から >>澄みきった空気の訪れを予感させた。
>>わたしは、日の出前の寒さに震えながら、 から >>花びらのきわを一層淡く可憐に見せていた
 情景描写は好きな人は好きらしいのでアレですが、私は苦手なんで、二段落に及ぶ情景描写を読むのはつらかったです。
 また、その「重要な景色」を見ることで主人公がどのような気持ちになったのか、その場面を読むだけで伝わるような描写であればよいな、と思いました。
投票者: 純粋読者

感想:
恐らく、作家さんの意図しているところではないのでしょうが、読み終えたあと、泣きそうになってしまいました。何か胸に来るものがあったとするならば、それは、男とKのやり取りと、物憂げなトーンが流れる作品全体の切なさみたいなものではないかと思います。
投票者: このバトルへの参加作者

■スプーン曲げ  藤田揺転さん

感想:
わ、若手の台頭だわ。。。みんな上手いですねえ。めらめら(炎)。
なかでも藤田さんがいいです。くねくねづくし、面白かった。
最後の「立ち去るんだ。」がまたいいですねえ。
投票者: このバトルへの参加作者

■脳内記事  瓜生遼子

感想:
 ぴかぷー、4.5Vだ! 電池三本分かよ!

1:「卒業証書授与式」
 しょっぱなからこれ、いいです。読んでいくうちに細かいジャブを喰らっててたまりません。最後のほうではあごが外れそうになりました。これ、残りを読まないでこのまま投票しちゃおうかなぁ、とか、そういう、すごい勢い。

4: 脳内記事
 だったのだけれども、これ、よく書けてる。なんかその、描写するものを絞るとか、視点の動きとか、色々なことを考えてえらく丁寧な仕事をしてる。これも1000字ならではの作品だなぁ。佳作。

7:雨と踊る
 いいんじゃが、「ビートを増す」といういいまわしを、アタシは識らない。
 これは白昼夢ならぬ雨中夢。このあたりの、もともとあるものとの対比を考えれば、もっと締まるんでないかい。

11:星と飴玉
 本物に勝るものなし。だから、このジャンルは、むづかしい。

15  ワイルドフラワー・ガーデン
 書けてはいるのだけれども、「伯父の観察」以上じゃないんだなぁ。
 つまり、観察することで、満足してしまっているということであります。

 結局ようこさんか瓜生さんかだな。
 悩んだ末、ようこさんのは、いづれ飽きそうなので、瓜生さんにしよう。(M)
投票者: このバトルへの参加作者

■西瓜の迷産地  とむOKさん

感想:
妙な存在感のある生き物が気に入りました。
来てほしくはないけど、見てみたいなぁ。
投票者: このバトルへの参加作者

■味噌屋  越冬こあらさん

感想:
 と、思わず突っ込みたくなるアホ話、流石です。
 序盤「脳味噌かよ!」で、中盤「使い込んだ脳って!」、そしてオチで「って、じゃあお前誰だよ!」と。
投票者: このバトルへの参加作者

■パッセンジャー  アナトー・シキソさん

感想:
バスの下にへばりついている姿に負けた…
投票者: このバトルへの参加作者