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1000字小説バトル

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1000字小説バトル【Rosso】stage2
第1回バトル 作品

参加作品一覧

(2008年 3月)
文字数
1
3737☆★
1000
2
(本作品は掲載を終了しました)
ウーティスさん
3
わあか
1000
4
ごんぱち
1000

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Entry1
『ガリバー旅行記』による創作
3737☆★

嘘を言う。それは口だけでなく、手のひらに塗りたくってベトベトと撫で回す―いや、むしろ体中から分泌されるのを、全身に浴びせているようになった―そんな気分かな。「一緒に逝こうよ」とか感じていないのに感じているフリをして、獣みたいに声をあげてみたりなんかして、『叩き役』をかって出る。「何がよくて付き合ってんの?そのバカ男と」とか言われて「愛だよ、愛」とかいってみる。この街じゃ誰もが考えてばかり。淋しいわけじゃない。抱かれて快感を求めているわけじゃない。ただ、そう「マジでぇ!ありえねー」と言いながら寄ってくる男に身を任せるのも、悪いもんじゃないなと思っているわけだ。「愛している」と言いながら、むさぼるように味わって、平然とお金だけ置いて、本当の彼女か奥さんか―多分後者だけど―と愛を語っている。でも、このことを誰かに言うと、常識人ぶった人たちや科学バカでも「所有欲=万有引力!」とか言っているアイツは眉間にしわを寄せて、「このアバズレ!」と罵るんだろうな。わたしの体から出る「嘘」という名の粘液を少しでもふき取ってくれそうだから、少しは言われてもいいけれども。ねぇ?そう思わない?・u・
鏡と対峙して、彼女は化粧を落としながら自身に問うているようだった。そして、9:00PMから始まる『天空の城の…』をかけ、真ん中の話はどうでもいいようであったが、あのオープニングの曲とアニメーションが好きで見るらしい。あとはプツリと電源をきった。テレビが四角く白く消えていくのが、たまらなく彼女は好きなようで、鏡に向かって以来久方ぶりに笑顔になった。
不老不死になったガリバーは急いで彼の『旅行記』に『3.Laputa』と走り綴った。目の前にいる女が、まさに彼女が似つかわしいと思ったからだ。嘗め回して、貪欲に全てのものを食べつくし、搾取し、『机上の空論』を展開して全てを飲み込み食べていく。科学人になった男たちを叩き、こんなヨボヨボの俺を相手にしている。この国の皇帝は何度も変わり、一度はこの地は灰になり、黒い涙を流して、それでも私は生き残ってしまった。長崎から帰るつもりの本国は今なら数時間で着くらしいのだが、このラピュタと化してバルニバービをやってのけては傷ついているこの国が滅んで生まれ変わるのはもう少ししたらやってくる。
『格差』と『品格』をちらつかせ、天空に上ろうとするものたちにも、彼女は同じように身を売るのだろう。La Puta!
『ガリバー旅行記』による創作 3737☆★

Entry2

(本作品は掲載を終了しました)

Entry3
遺書
わあか

 遺書を見つけた。

 そう記してあった訳ではないが、ただの薄汚れた紙でもそれは立派にそう存在出来るものだった。

 私は反射的に辺りを見回した。鬱葱とした木々の隙間から淡い光が静かに揺れ、湿った空気にじっと見つめられているような気がした。

 私は拾い上げた紙に目を通した。そこには整然とした文字が並んでいる。私は急に何かに押し迫られるような不安を感じた。

 どのようにして自らを絶ったのか。何を思ってそこへ行ったのか。それを量る要素は見当たらなくとも、私の前にあるものは、終わりを前にしたその人物が自らの手をもって記した最後の名残だ。

 まるで静かに死を見つめているような感覚をみた。乱れも震えもない、日々の流れの一部として書き記しているような筆跡。私は気味の悪さを大きく覚えた。

 私の手は今も震えている。

 ここへ来てからの間、ひたすらそれを抑えようと逆の手を使っても、ただ繋がった手を伝い、全身へと広がるだけだった。言葉に出来ない切迫されたこの重圧からどう逃げられよう。

 私は衝動的にその紙を手の中へ捻じ込み、目の前の幹に荒く投げつけた。

 恐ろしい。どんな決意をもったとしても、今ここに居る私は堪らなく恐ろしい。それから逃れようと考えを起こしても、それがまた震えを大きくさせるだけだった。
 何故私はここへ来たのか。あれ程ここしかないとようやく行き着いた思いを従えたはずなのに、今私はただ情けなく震えている。

 私は何かを追い払うように叫び、押し迫るものに震えた。

 そして、再び自らが汚した小さな紙が目に入った。雨風に晒され、私のような者に崩され、無残な名残となった紙はそれでも静かにそこにあった。

 私は慌てて手を伸ばし、私が付けた汚い皺を伸ばすように必死に手で広げた。

 これを記した人物は、最後の言葉さえ誰にも伝わらず、それさえ知られる事も無く、私のような人間にだけ生きた証を見られている。私だけが見ている。

 私はその場に身体を沈め、紙を顔に翳しながら醜く声を殺して泣いた。

 私はただ小さく震えているだけの情けない人間だ。まともに筆を持つことすら出来はしない。だが、どんなに綺麗な跡を残しても、それを知られなければ何が残る。筆すら持てない震えた手は、まだ何かを記せる可能性があるのではないだろうか。

 綺麗な跡を残してしまった証を唯一見た私は、まだ震える手を使わねばならない。
 伝えねばならない。

 そんな気がした。
遺書 わあか

Entry4
ナポレオンVSスフィンクス
ごんぱち

 エジプト遠征に来たナポレオンの前に、スフィンクスが現れた。
「ここを通りたければ、我が問いに答えよ」
「余の辞書に不可能の文字はない、何でも答えてやろう」
「朝は八本足、昼は八本足、そして夜は八本足。これは何ぞ?」
「……アシハポーン?」
「ノン、アシニホーン切れた、アシジュポーン」

 G氏脳内会議開催。
「……なあ、直観の」
「なんだ? 論理の」
「アシハポーンとアシジュポーンてなんだ?」
「はぁ? フランス語でタコとイカの事だろう?」
「タコはpieuvre、イカはseicheだよ。フランス語知識がないから実際の読みは分からんけど、少なくともアシハポンとは読まないだろ」
「小学校ぐらいの時、何かで聞いたぞ。タコはアシハポーン、イカはアシジュポーンて」
「それはギャグだろう」
「ギャグ? どこが?」
「そりゃあ、何かフランス語じゃないのに、フランス語っぽい響きっていうとこが愉快なんじゃないか?」
「あのな、ちょっとそこ座れ、論理の」
「なんだよ」
「確かに今なら。it社会の中で生きて、知識をたっぷりと蓄えた今の俺なら、だよ? 『フランス語っぽい響き』ってのは分かるよ」
「はあ」
「だが、フランス語の知識が単語一つもない小学生に対して、それを言って何になる? お前、コミケに行った事のない人に『コスプレ広場で売ってるレンズ付きフィルムは、パッケージデザインが吉田戦車なんだぜ』とか、八十歳の婆様に『ケーシー高峯は、ブラックジャックのモデルなんだよ』とか、一般人に『マジンガーZの大きさは、ガンダムを参考にしたんだよ』とか言ったらどうなると思う?」
「……そりゃ、そのまま信じるだろうな」
「そう。もしも事実であれば、『へぇー、そうなんだ面白いね』で、めでたしめでたしだ。だが、事実でなければ『え? 何でそんな事言うの?』状態だ。タダのウソだろう」
「まあ、確かに」
「畢竟、ギャグは相手とのある程度の知的共通点があって成立する、コニュミケーションなんだよ」
「それを言うならコミュニケーションだ。それに口語で畢竟とか使うな」
「そうそれ、そういうヤツ。つまり、フランス語的なモノが全然育っていない相手に対して、こんなネタを使うヤツはだな! ギャグセンスも、コミュニケーションスキルも底辺である事を露呈しているのだ!」
「あー、アレだな、つまり。リアルにフランス語だと信じてたんだな。このネタを書く為に実際に調べてみるまで」
「……Oui」