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1000字小説バトル

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1000字小説バトル【Rosso】stage2
第15回バトル 作品

参加作品一覧

(2009年 5月)
文字数
1
(本作品は掲載を終了しました)
ウーティスさん
2
1000
3
SuzzannaOwlamp
1000
4
ごんぱち
1000

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Entry1

(本作品は掲載を終了しました)

Entry2
人形

 陽が落ちてまいりました。灯りをともしましょう。
 ほんに陽が暮れる前にこの家に気づかれて良かったですにゃ。
 こんな家でも面白いことがあったと。
 その人形がしゃべりましたか。それはわしが昔こさえた特別な人形。しゃべりもすれば、舞いもします。あなた様を気に入ったらですけど。
 もうしゃべりかけられたのでしたら、気に入られたっちゅうことですにゃ。その人形はあなた様に差し上げましょう。
 そうです、差し上げましょ。
 あなた様が道に迷い、この家を訪ねていらしたのも何かのお引き合わせ。ほほほ、何のお引き合わせでしょうな。
 もったいないなどということはありませんよ。
 あなたは昔、人を殺めたことがおありですか。
 なにを怒っとりますのん。
 その人形が尋ねておいでですにゃ。
 その人形には幼くして殺された娘らの髪を植えとります。そのため、人殺し、特に幼女を殺めたことがあるかと尋ねずにはいられないのですよ。
 本当のことを答えておあげなさい。この婆がいると答えにくいですかな。それでは、わしはさがりましょう。はい、ここに居て欲しいと。あなた様、震えていなさるか。
 その人形をこさえたのはわしですじゃ。何故、こげな気味悪かもんをこさえたかって。気味悪かことないでしょう。みんな可愛か娘でしたもんね。
 この婆を残してみんな殺されてしもうた。この婆もこの娘らと同じ年頃の娘でしたんじゃ。この娘らは殺されることは怖くはなかったんじゃ。この娘らは喜んで殺されたのですもん。けど、生き残ったわしからしてみれば不憫でな。土をこねて簡単な人形をこしらえ、娘らの髪を植えたったです。何しろ幼い子どもの手ですから、土くれのような人形でした。それが今はどうです。年月というものは不思議ですにゃ。
 よく人形の顔を見てやってくださいませ。
 好いた男のため、幼いながらも美しく見せようと艶やかに微笑んでおりますでしょう。
 そして、人形の黒髪を見てやってくださいませ。
 好いた男がなでてくれた黒髪を誇りに、その感触を忘れたくないと光っているのです。いまだに、好いた男に手に触れて欲しいと、そこだけに魂をこめて生きて、誘っているのかもしれません。
 どうぞ、手にとってごらんなさい。人形もそれを望んでおります。
 その娘らを殺めた男のことですか。もう、昔の話です。男ということしか、この婆は覚えておりません。
 あなた様は男ですね。それだけで充分です……。

Entry3
みぎり
SuzzannaOwlamp

雨鳴り止まぬ皐月にて竿を物袋がいつ足り来たりいつ足り来たり。かける群れたるや傘を持たずいつぺんの通り庭をばふうらりふら。いつ如何なる時ぞかかる情けをば鞘に終い込み敵をば味方をば荒くれない申す。某かきつたかと思えば柳の枝にもののけのけはいあり。ふと見やると犬なるか猫なるか。はたまた啄木鳥たるか烏たるか。さつしゆと抜きたる我が刀空をきつたかと思えば雲雀の声が鳴く。相当数の敵が血を流し我関せずと斬りたる躯の山の上手にしたものをば見やるが如くただ某の汚れ血に愛想いない。我が娘をこの手に由良え左の手には刀ひとつ。抜刀術にて手にしたものは刀なき世になぞらえて唯此れ曇り空にいつてんの光に候。駒を動かす砌の手には屏風の虎をば捕らえしが殿のご乱心我が身に降りかかる。情けをかけたる我が衣手に露に濡れつつ。身やるが如きに子に生まれしが名を清四郎とつけつ。見やるが如くらうたき掌砌に刀左に鞠をおき清四郎の前に此れをおく。この乱世にて鞠を選びしとき我が子をこの手に殺めしが清四郎にわかに刀の方に歩み寄りたり。この子を抱き抱え荒野を歩めば道なき道にまた道できつ。人の世にある全てのものは斬りつくし捲えばまた再び斬るものだに現れるかに愛相違なくまた斬らずに捨てつものも現れるに愛相違ない。芯を見たかと候えば陛下の世にありまた殿の世にありしは我が身世に降る眺めせし間に。一生を息しにでか繰りかえさむと御仏の世にありしは我のなかにも仏あり。鬼を殺すか邪を斬るか流れ行く我がその血を受け継ぎたる我が息子清四郎。主らの歩む世は主らで切り開けとの師の教えを背に腹は変えられぬとまた清四郎の前にて人を斬る。清四郎の眼たるや清らか足ることこの上丈なし。儲けを知らない我が息子人の血で我が血を洗う。行く手には盗人じや道中師じや護摩の輩。清四郎を守りつつ我が刀はまたつまらぬものを斬る。よつて護摩の輩は消え失せ我が道なりに我が子を連れて歩き出す。血は破る髪をも洗う竜田川流れ世に降る眺めせし間に。女言いしが某は濡れ手で粟の色男。清四郎を寝かしつけたかそれがしこの女を抱く。夜途に酔いしが我が心某かの快感を覚えつつ夜の静寂に消えて行く。雀が鳴くと思えば東野空が白い木偶。やや女はいずこへ遠くを見やると賊の気配。ともすれば人拐いに相違ない。清四郎の姿もなく身に危険を察すれば我が命投げ出したとしても賊の手には渡さんとひたすら東へ東へと向かう。

みぎり SuzzannaOwlamp

Entry4
そういうフラグ
ごんぱち

 昔、安珍という若く美しいお坊さんがいました。
 安珍は熊野大社への旅の途中で立ち寄った家の、清姫という一人娘と恋仲になってしまいました。
 お坊さんが女の人と恋仲になる事は許されません。
 熊野大社のお坊様は、安珍の心の迷いに気付き、二度と会わぬように、と諭し帰りは別の道を行くようにきつく言いました。
 ところが。
「好き合うたおなご一人添い遂げられぬならば、坊主など辞めてやる!」
 安珍は言い切って、袈裟を破り捨て、清姫の元へと走ってしまいました。
 さあ、引っ込みが付かないのは、熊野大社のお坊様です。折角忠告したのに、顔を潰されたようなものです。
 僧兵を派遣し、背信僧である安珍を亡き者にしようとしました。
 安珍は僧兵が追い付く寸前に、清姫と再会しました。
「安珍様、よくいらっしゃいました」
 清姫は大喜びです。
「清姫殿、そうも言っておられぬのだ、このままでは殺されてしまう!」
 もう、追手はすぐ側まで来ています。矢を射かければ充分届く距離です。僧兵達は屈強で、優男の安珍が戦ったところでただの一人にも勝てそうにありません。
「気になさる事はありません」
 清姫はそう言うと、着物の帯をするすると解きます。染み一つない白い肌が露わになります。
「何をなさる!?」
 安珍が驚く間もなく、清姫の姿はみるみる形を変えて行きます。
 白い肌にウロコが浮かび、手足はなくなります。その姿は一匹の大蛇でした。
 大蛇は追手の僧兵達に襲いかかります。
「射殺せ!」
 僧兵達の放った矢は、大蛇の吹く炎に灼かれ当たる前に灰になってしまいます。
「ならば、叩き殺すまでだ!」
 今度は長刀で斬りかかりますが、硬いウロコはビクともしません。
「あの大蛇は化け物か!?」
 刀で斬り付けると辛うじて傷は付きますが、発する熱ですぐになまくらになってしまいます。
 大蛇はすぅっと息を吸い込んだかと思うと、僧兵達に向けて一気に吹きかけました。凄まじい炎に包まれ、僧兵の鎧が焼け落ち、衣類は燃え上がり、皮膚は焦げ、鼻や口から入り込んだ炎は喉から胸の中まで焼き尽くします。
「ひぃぃ、た、助けて!」
 逃げようとする僧兵達も、次々に炎に巻かれ、また喰い殺され、ものの四半刻も経たぬうちに、消し炭と肉片になっていました。
「安珍様」
 清姫は鎌首をもたげてにっこり笑いました。
「さあ、これで安心です」
 安珍は清姫をじぃっと見つめて。
「……いや、ゴメン、それかなり引く」