≪表紙へ

1000字小説バトル

≪1000verde表紙へ

1000字小説バトル【Verde】stage2
第12回バトル 作品

参加作品一覧

(2009年 2月)
文字数
1
(本作品は掲載を終了しました)
ウーティスさん
2
君島恒星
1000
3
ヤマモト
1000
4
待子あかね
1000
5
ごんぱち
1000

結果発表

投票結果の発表中です。

※投票の受付は終了しました。

  • QBOOKSでは原則的に作品に校正を加えません。明らかな誤字などが見つかりましても、そのまま掲載しています。ご了承ください。
  • 修正、公開停止依頼など

    QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

お問い合わせ

Entry1

(本作品は掲載を終了しました)

Entry2
朝日の中に
君島恒星

 冬の朝。
 まだ、日は昇っていない。
 指の動きがぎこちなくなる寒さの中、三脚を伸ばして一眼レフカメラをセットする。
 都会の一角のビルの陰。この季節の一番のポイントだ。
 そして、もうここからの写真は二度と撮ることができなくなる。
 ファインダーを覗いていると、人影が横切った。
「金森さん? 写真ですか?」
 彼女は、愛想よく笑顔を見せた。
 背筋がゾクッとした。
 会社の中でもずば抜けての美人だった。でも、彼女がここにいるわけがない。
「魔物でも見たような顔をしてますよ」
「そんなこと言われても……」 
「今日で最後ですものね。最後のシャッターチャンスですよ。なのに、わたしはどうすればいいんでしょうか? わからないの……」
 彼女は寂しそうにうつむいた。
「何のことだか……」
「わたし、あの時、はっきり言えなかったけど、部長との関係が原因だったんです」
「あの後、噂は広まったよ。そして、部長は膵臓癌で亡くなった」
「取り憑いてやったのよ。卑怯な奴……逃げたのよ。でも、あいつはここにいない……わたしはいつまで、ここにいればいいの?」
 少し気持ちが落ち着いてきた。彼女はまだ成仏できていない。まだ、この世をさ迷っているようだ。
「あの時、僕は落ち込んだよ。有能な部下を亡くしたんだから……定年になってからも、忘れたことなどなかった」
「有能な部下? それだけ?」
「好きだった。でも、立場上、行動に出られるわけがない。それこそ、不倫になってしまう」
「正直な人。それ、聞きたかった言葉だったのかも? 何かすっきりした。今だから、落ち着いて聞けるけど。あの時は、聞く耳なかったと思うし……」
「そうだろうな。あの時、君は部長への憎しみばかりだった。でも、今日会えて僕はホッとしたよ」
「わたしも、気が楽になった。だって最後の朝ですものね。そろそろ時間! 話が出来てよかったわ」
 彼女は笑顔を残しながら、薄暗いビルの蔭に消えていった。
 ファインダーを覗き、元の会社のビルから昇る朝日を狙う。
 元の会社のビルは、今日から解体作業が始まる。40年勤めていた場所が無くなってしまうのだ。
 朝日がのぞいた。ビルから昇る朝日はきらびやかだった。
 シャッターを切る。何回も。
 ファインダーに感じた……切ない影を。
 デジタル画面の再生で確かめてみると、彼女が朝日の中、屋上から飛び降りている姿が鮮明に写っていた。
 何枚も。
 たぶん、最後のダイブ……
朝日の中に 君島恒星

Entry3
雪自殺
ヤマモト

 先程僕は最愛の人にフラれました。なんだってこんな事に。
 僕は、僕は。只あの人を愛しただけなのに。

 先刻から僕の気持ちを代弁するように雪が降っています。白い白い雪。あぁいっそ、僕の記憶も何もかも全て、真っ白に塗りつぶして欲しい。
 悲しくて悲しくて、寒くて寒くて寒くて、僕はこのまま凍死しようと思います。

 さようなら。愛した人。

 目を瞑るとサラサラと、雪の積もって行く音がします。聞こえるのはそれだけ。
 雪はこんなに大粒で、僕はあっと言う間に埋もれます。


 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。

 雪で埋まって行く世界。

 僕は、あんまり寒いので、家に帰ってお風呂に入ってうどんを食べてあったかい布団で寝ました。

 風邪すら引かなかった。

 さようなら、愛した人。

雪自殺 ヤマモト

Entry4
籠の中の鳥
待子あかね

 月のきれいな夜のことでした。その月の輝きにしみじみとしている娘ひとり。娘は立ちつくしている。そっと振り返ると、さらさらとした長い髪のお姉さんが声をかけてきます。
「ねえ、あなた、どうしたの?」
「こんばんは。あ、あの、あんまりきれいな月だから行ってみたくなったの……」
「そうかい、だったらわたしといっしょに行ってみる? わたしとふたりっきりになってしまうけれど、それでもよかったら行ってみる?」娘は、ちょっと怖くなって、でもすぐにきれいなきれいな指の長いお姉さんの差し出している手に、自分の手を重ねていました。
 手をつなぎながら(はじめはちょっと恥ずかしかったようでてのひらとてのひらを合わせているだけでしたが、気がついたら恋人繋ぎ、指と指を絡ませていました)娘は、自分の心がすうっと軽くやさしくやわらかになっていくのを感じていました。お姉さんとふたり、少しずつ歩いていきました。あっという間に、娘の家からいちばん近くのローソンも背中の遠くになってしまいました。
 気がついたら(安心しきっていたからでしょうか)娘は、自分の話をあれやこれやとお姉さんに話していました。お姉さんは親身になって、やさしくやわらかく、娘の話を聞いてくれました。遠い昔に失った母に、今日学校であった話を全部丁寧に聞いてもらっているかのようです。
 月のきれいな夜、いまは2月だから、寒くて震えが止まらないはずなのに、あたたかくてたまりません。お姉さんの手のひらから気持ちが伝わってきたからでしょう。

 彼女は娘の手を彼女の胸にそっと当てて、
「迷うことなんかないんだよ」
 そういって、深い闇夜へ連れて行くかと思ったのです。ところが、
「ねえ、あなたの手のひらをこうして胸にあててごらん。そしたら、ここにも月がいることがわかるよ」彼女は娘の手をぱっと離し、夜へと消えました。

 娘は、ただひとり呆然と立ち尽くしています。そこは、歩道橋の真ん中で、歩道橋の階段なんて上った覚えないのに。夜空を見上げると、お月さんがきれいで、丸い。
 寒さで手が震えてきたので、何か飲みたいと自動販売機を探しました。歩道橋の端まで歩いて、階段を降りようと思ったら、紅茶花伝(ホットミルクティ)の缶が置いてありました。一筆箋が添えてあって、
『また、逢いに来るよ』
 紅茶花伝を抱きしめててのひらを温めて、娘はその場で涙をこぼしました。もう、寒くなんかないと涙をこぼします。
籠の中の鳥 待子あかね

Entry5
漫画版準拠
ごんぱち

 鬼を退治した後、桃太郎一行は家に帰り仲良く暮らしていました。
 そんなある日。
 柿の木に登っている猿に、犬が声をかけて来ました。
「猿君、僕たちはゲッターロボで言うと、何に相当するだろう?」
「それは興味深いね、犬君」
 猿は犬の隣りにどっかと腰掛けます。
「桃太郎さんは隊長格だろうね」
「とすると当然、早乙女博士だ」
「然り然り」
 二匹とも納得顔です。
「雉君は空を飛べるんだから、ゲッター1だと思うんだ」
「全くもってその通りだね。そして、僕がゲッター2、犬君がゲッター3だね」
「え? なんでだい」
 猿の言葉に、驚いて犬が聞き返します。
「ゲッター2はスマートだよ。猿君は腰が据わっていて顔が平べったくて、どちらかと言うとゲッター3じゃないか」
「ゲッター2の乗組員を忘れたかい?」
「神隼人だろう?」
 犬は即答します。
「そう」
 猿は大きく頷きます。
「彼はIQ三〇〇の頭脳と体操で鍛え上げた肉体を兼ね備えた、スーパーマンと渾名される革命家だ。犬と猿では猿の方が知能が高いし、体操的な動きも出来る。となれば、猿がゲッター2だろう?」
「いやいや、猿君。ゲッター2は、地上では最速なんだ。犬の最速はグレイハウンドの時速六十四キロ。猿にこれは出せないだろう?」
「犬には泳ぐという優れた能力があるじゃないか。水と言ったらゲッター3さ。泳ぎの不得手な僕には相応しくないさ」
 二匹の表情が次第に笑みが消えて行きます。
「猿君だって温泉に入るだろう? 水との関わりは深いと言わざるを得ないね。それよりも形がほら、似てるじゃないか。歩くときの不格好さもキャタピラとそっくりだよ」
「犬君は口を開けて舌を馬鹿みたいに出してハァハァ言うだろう? あれは正しく、ミチルさんに萌えている巴武蔵のギャグ顔そのものじゃないか」
「初登場の話で、巴武蔵は流竜馬に『猿そっくり』って言われてるじゃないか。猿君こそゲッター3だよ」
「分からないヤツだな、犬君こそゲッター3だよ! 腕伸びるだろう?」
「猿君なんか、大雪山下ろし出来るじゃないか! 猿君こそゲッター3だよ!」
「ふざけるな犬コロ! ゲッター3は君だ!」
「違うねエテ公! 君こそゲッター3だ!」
 言い合った末に犬と猿は噛み合い、掴み合いの喧嘩になり、ついに仲直りをする事は出来ませんでした。

 それ以来、犬と猿の仲は悪くなってしまいました。これが、犬猿の仲という言葉の元になったそうです。
 どっとはらい。