Entry2
動物園会議
百
「えー、これより、この動物園の入場者数アップのための会議を行います。アイデアがある方はどうぞ」
「動物ともっと触れ合えたり、近くで見られるような工夫をすべきではないのでしょうか?」
「例えば?」
「檻や金網を頑丈で厚さのあるアクリル板にして見やすくするとか」
「そうそう、ドーム状にしたりしてな。下からも覗けたり、頭の上を動き回ってたり」
「それって、どこかの動物園の話でしょう……。
この財政難を考えてください。実現可能なソフト面でのアイデアを希望します」
「ちびっこ広場の動物の種類を増やすとか」
「何かの動物の散歩はどうですか?」
「服を着せられた猿軍団によるパレードみたいな?」
「冗談! それじゃあ、動物愛護団体に噛みつかれちゃうでしょ」
「そうだな、遊園地じゃないもんな」
「しかし、散歩はいいアイデアでは?」
「そうそう、歩く姿がかわいい動物なら、特に話題になるな」
「しかし、どんな動物を?」
「あまり危険でない動物……」
「ゆっくり見られるように動きが早くない動物の方がいいですかね?」
「……逆に、危険な動物が散歩するってのも話題になりませんか?」
「と、いうと?」
「ペンギンやポニー、孔雀などの散歩を打ち出している動物園がありますが、猛獣系が散歩ってないんじゃないですか?」
「それは、危険だろう!」
「飼育員も危険ですよ!」
「そうですか~、話題になると思うんですけどね~」
「もっと動物の生態を観てもらうために餌を与える時間をお知らせしたらどうですか?」
「今でもしているだろう?」
「もう少し、派手な演出をしたり、飼育員による解説をするんです」
「ふむふむ、なるほど」
「派手な演出ね。例えば?」
「生きた餌を与えるとか?」
「それは残酷だろう!!!」
「でも、それが本当の生態ですよ」
「そうだ! 財政難をも救う、いい方法がありますよ!」
「なんだね?」
「さっきの猛獣の散歩のアイデアですよ!」
「えっ?」
「猛獣の散歩を名物にするんです!
名づけて『ドキドキタイム』!」
「は?」
「客は動物のリアルな生態が見たい」
「それはそうだな」
「そして、スリルやドキドキを味わいたいんです!」
「ふむふむ」
「時間を決めて、トラかライオンを園内に放すんです!」
「おいおい!」
「今回の犠牲者は誰だ! 逃げ切る自身のある方はチャレンジ! ドキドキタ~イム!」
「って!」
「おいっ!」
「……どこが財政難を救うアイデアなのかね?」
「食費が浮くじゃないですか」