Entry2
保育園
小笠原寿夫
「腹が減って死にそうや」
そう漏らすメールに返ってきた答えは、
「それやったら飯炊いて食えばええやろ」
であった。至極当たり前の答えなのだが、それが出来なかった。何故なら、米がなかった。真夜中にメールをしたことにデリカシーの欠片もなかったと思うのだが、あいつはきっちり返信してくれた。少し傷ついたが、2010年2月18日(木)現在、それは見事なまでに、真をついた突っ込みだった。あいつと私とでは立っている状態が違う。今となっては、笑い話で済むかもしれないが、逼迫した状況に、それは酷な裁きだった。
「腹が減っては戦ができぬ」
そのように返信したい気持ちでいっぱいだったが、いっぱいいっぱいの私には、それが出来なかった。何せ腹の中も身体の中も空っぽなのである。とりあえず私は煙草を吸うことにした。眠眠打破というサプリメントがコンビニに売っている時代に、
「飯を喰って早く寝たい」
という考えはあまりにも子ども染みていて、わがままな欲求だった。話は戻るが、煙草というアイテムは、腹の虫が収まらないときに、気を間明わせる効果がある。その意味に於いて、ドラゴンクエストの「薬草」というアイテムはヒットポイントを回復させる手段としてよく練られた発想だった。10Gで買えるそのアイテムはモンスターをやっつける勇者には必需品だったのかもしれない。レベルがアップするに連れ、薬草を手放し、勇者は「ホイミ」という呪文を覚え、薬草を買っても買わなくてもよい状態になる。ホイミを唱えるとOooという効果音と共にヒットポイントが回復する。私が子どもの頃の話である。ゲームばっかりしている子どもだった。ゲームと面と向かって、物語りに吸い寄せられていく私を見ていて両親はどのような視線で私を見ていたことだろうか。現実を見よう。私は生活保護受給者。独り身である。娯楽と言えば、メールを打つことくらい。テレビを見ることも出来る。パソコンに向かい、素人の手習いも出来る。鏡に向かい、歯磨きをすることも出来る。上等じゃないか。やってやるぞの姿勢を崩させ、やる気になればなんでも出来る。浮浪者のような身なりをしていてもその真は夜露を凌げる家がある。ワンルームのアパートで、どこが悪いのかわからないことが、また頭を悪くする。ケータイ気違いと呼ばれながらも、文章を書いているこの現状が私の病をまた悪化させる。どこが寂しいのか分かっている。さあ、飯を食べようか。