Entry2
パンなぞリターンズ
ごんぱち
「トシくん、なぞなぞね! パンはパンでも食べられないパンって、なーんだ!」
「うーんと……わかった、ノリちゃん! ジーパンだ!」
「正解! それじゃあ、ごはんはごはんでも食べられないごはんって、なーんだ!」
「孫悟飯!」
「……ねえねえ、ちょっと。あのさ、なにそれ。おかしくない? ありえなくない? ほんのちょっぴりでも頭使ってみてよ。元々そのキャラ名ってのはさ、父親であるところの悟空っていう名前の一字を取って、しかも意味のある言葉にする事によってギャグマンガ的おかしさを出したもので、既にして食べる方のごはんって意味でごはんなんじゃん。それじゃあダメなの、最初から意味が一緒なの。あんた、それで良いと思ってんの? あんたのそれはさ、最初のパンのなぞなぞで、『パンって名前を付けた犬!』とか『パンって名前の付いた本』とか言うのと同じなの。答えじゃないの。意味がないの。NGワードに近いの」
「じゃあ、救護班」
「できるじゃない! できたじゃない、トシくん! できる事をどうして最初からやらないの。注意されてから正しい答えに辿り着くなんて、あんたクレームが来るまで何も正そうとしない外国のホテルか何か? まず自分で考え付く最高の答えを何とかして捻り出してからようやく答える、そういうものでしょう? さもないと、例えばあたしがさっきの答えに呆れてどっか行っちゃったらどうするの? あんたは巻き返しの機会もないまま、あたしはあんたが滑った答えしか言えない男だって思ったままになっちゃうのよ! それでいいの!?」
「うふふっ、だって、ノリちゃん、ぼくの直すのきかないでどっか行っちゃっうなんてこと、ゼッタイないじゃない」
「い、いつまでもそう思わないでってこと! 今まではたまたまどっか行かなかっただけよ、たまたまなんだからね!」
「うんっ」
「おこってんのよ! なにニヤニヤしてんのよ!」
「なーんにもっ」
「なぞなぞあきたわ! 別なのするわよ! 面白いの考えなさい!」
「こまったなぁ、ぼく、ノリちゃんといっしょだと、みんな楽しいよ?」
「ば、ばばっ、ばかじゃない! もういいわよ! すべり台やるわよ! すべり台!」
「おい、四谷。見たか、今の公園、幼児がキャッキャウフフしてたな」
「見たよ、蒲田……ああ、へべれけになるまで飲みてぇなあ! そして何もかもぶち壊してみてぇなぁ」
「へべれけになって暴れられてたまるか。仕事をどうするよ」