Entry2
6月26日
石川順一
ボールドは6月26日(日)、母と喫茶店Sへ行った。(前回「続く」と記しました「神の鳥」は、カルパッチョさんのカルパッチョがイタリア語で食い物を意味して居る事に後で気付くなどネーミングなどに若干不備があると思いましたので、しばらくはお休みしたいと思います。再開はちょっと遅れるかもしれません。)
「Cはどう?」
「もう10時55分だからね。Sじゃないとモーニングが間に合わないよ」
「喫茶店のモーニングサービスはほとんどは11時までだからね」
喫茶店Sに着くと待ち時間が少しあり、母が名簿に名前を記す。ボールドは週刊誌を手に取り待つ。週刊SPAには板橋区資産家事件の犯人を知っている男の手記がある。日中混成強盗団の噂。2009年5月と言う日付。過去と現在が同居し始める。ボールドは周囲の人の動きに気をとられながらも週刊誌を貪る様に読んだ。
「Iさん・・・」
二人分の席が空き、ボールドと母は調理場がある北西の位置からするとそこから奥まった所にある南西方の4人掛けのテーブルに案内された。壁を隔ててすぐの所に雑誌置き場があるテーブルで人が雑誌を置く音がボールドは気になった。北海道小豆を載せたトーストのモーニングサービスが切れて居たのでボールドは仕方なくフレンチトーストバージョンにする。
ボールドはアイスティーを飲みながら再び週刊誌SPAの資産家宅放火殺人事件の記事を貪る様に読んだ。瀬田英一さんと瀬田千枝子産夫妻が焼き殺された。2年前の出来事ながらまるで昨日の事の様にボールドの記憶に蘇って来た。日中混成強盗団か、ふふ、ボールドは微苦笑した。
喫茶店の後、ボールドと母はスーパーKへ行った。何時もなら車で待っているボールドも今日は暑いので母と共に店内へと行く。尾道産のたこ焼きなどがあったが、ボールドはやり過ごしてカゴへ入れない。お菓子を最後に買おうとしたらレジ精算が意外と早く済んで仕舞ったのとレジ近くに陳列されて居た週刊誌に目を奪われボールドはお菓子をカゴに入れ逃し少し悔しがった。
家へ帰って来ると車置き場に風呂のマットが落ちて居た。
「風で飛んだのね、ボールド、ちょっとどかしてよ」
「何であんな所に風呂のマットが・・・」
「勝手口の靴脱ぎ台に干して置いたのよ、かびちゃわないように」
ボールドは車を出ると薄紫色のマットを勝手口を開けて風呂場の出入り口の前に置いた。駐車したボールドの母も程無くして入って来た。