Entry1
くるくるどーん。
小笠原寿夫
その悲鳴、基、雄叫びから、あほあほ運動会は、始まった。
「只今より、きゅぴきゅぴきゅうきゅぴぴゅー校長先生からお話があります。皆さん、静かにお聞きください。」
きゅぴきゅぴきゅうきゅぴぴゅー校長が、朝礼台に立つ。
「あ、あ、てすとー。てすとー。
えー。」
その時、マイクの音が割れ、けたたましい音が、校庭中を谺した。教頭が、替りに挨拶をした。
「只今の学校は、学校給食にまで、熱を入れております。つきましては、お昼休みの休憩の際には、お父さん、お母さんと一緒に、食事を取る様にしてください。尚、大人の都合上、飲酒、たばこ、お車でご来場の保護者の皆様は、くれぐれもお身体を慈愛してください。」
くるくるどーん。
只今を持ちまして、教頭の選手宣誓を願いました、を後ろ手に感じつつ、真っ正直な坂田くんが、手を挙げます。
「四次元空間を逆手に取り、飴を舐めながら、やきうが、終われば、開催します!」
私は、終わり次第の方が、しっくりくると思いつつ、次の雄叫びが鳴る。
くるくるどーん。後ろの方からのハイキックは、ご機嫌斜めに構えてくださりませんでしょうか?
俄かに静まり返った校庭を、ひたすら、左手に回る、本物の坂田くんが、うどんを投げつけてきた。
べちゃ。
顔面に当たり、戦意を喪失した杜若くんが、校庭の地面に落ち、砂混じりになったうどんを拾い上げ、給食袋にしまいこんだが早いか、差し詰め、そんなところではなかろうか、と思った私を尻目に、柳昇くんが、またしても、うどんを頬張ったところで、赤組にスリーポイントが、入ります。
きわきわきわ。
その雄叫び、基、悲鳴によって、白組にワンポイントが加えられたファッションが完成した。
「続いての競技は、昨日の時点で結果が出ておりますので、端折らせていただきます。」
アナウンスは、正確だった。
ここで、白組にツーポイントのアドバイスを元手に、近所の商店街で、私は、酒屋を経営する決心は、出来ました。
はい、ワンポイントの車登場。
片手間で、始まった運動会は、愈々、レッスン再開してくださった保護者の味方について、話し合うという結果から見ても、ここで、私は、空気が読めなくなりました。
ええ加減収納でもつけてくださいよ。
その悲鳴、基、嘆きを承知の上で、私は、いつも以上に鼻を鳴らした。出来ましたら、右鼻から左鼻にして頂きたいのですが、ご無理ということであれば、逆でも結構です、と肝に銘じてみた。