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浪花男道~葬儀編~
小笠原寿夫
ディズニーランドの好きな母でした。ディズニーを語らせたら、目が輝いて、止まりませんでした。そんな母は、晩年、日本の伝統に興味を注いでいた様です。相撲や歌舞伎を見に行っては、その感動を私に教えてくれました。
当時の母の思い出として、安保法制には、反対だと言っていました。かと思えば、永遠の0を熱く語っていました。働く事にかけては、一級品で、家の中で、最も権限を持っていたのが、母でした。
「ちょっと待てー!」
えー、母の教育方針には、反対でしたが、母の説明はよく分かりました。
「まだ死んでないわー!」
列記とした大人には、なりませんでしたが、今の私があるのは、他ならぬ母のお陰だと自負しております。
「勝手に殺すなー!」
思えば、夏の日のこと、母は、こんな事を言いました。自分がされて嫌な事は、人にもしたらあかんのよ。生前、お世話になった方々が、こんなにもお集まりくださり、母もさぞ喜んでいると思います。
「おい!トシ、ふざけるのもええ加減にせえよ。」
母の辞世の句を拝読いたしまして、最期のお別れの挨拶としたいと思います。
【フフッ、上沼さん、面白いわー。】
「どこを切り取って言うとんねん!」
【松嶋最高!】
「おい!セリフのチョイスおかしいやろ。」
掘り起こせば、何が飛び出すかも分からない母の最高の名言を最期に言わせてください。
【ぺーやな。ぺーかもわからんな!】
「ゆうてないわ、ど阿呆!」
その後、親族がメチャクチャ睨んでいたらしいのだが、どつかれた痛みであんまり覚えていない。
後に母は、こう述懐する。
「お前は、天才じゃない。お笑いという文化が世に根付いた時に、お前は、一番じゃなくてもいい。ただ、そこに携われることが、どれだけ崇高で尊いことなのかを、噛み締めなさい。折角の空気を壊したり、飲み込んだりするようなことがあれば、私は、お前を許さない。てっぺんを狙うな。てっぺん取った奴は、それにしか分からん苦労が待ってる。引き立て役に徹し続けて行くことが、スターへの階段や。判ったか。」
それでは歌っていただきましょう。
『浪花男道』
おたふくソースの
看板背負って
一軒隣は
風車
くるくる回る
嗚呼
くるくる回る
浪花男道
二軒隣は
ラーメン屋
本場串カツ
風車
くるくる回る
嗚呼
くるくる回る
浪花男道
嗚呼
浪花男道
なにーののにーが
浪花男道
歌って頂きました。人生抜きには、語れない歌声で、鐘はゼロでしたが、よく健闘して頂きました。
ありがとうございました。