Entry1
長編小説(途中まで)
おんど
この文章が発表される頃にはもう師走になっているはずである。
一年は早いものでついこの間まで桜が咲いていたのかと思えば、もう浜辺を歩くビキニのお嬢さんを勧誘してマジックミラー号で身体測定及びその撮影を長時間にわたってするような季節になってしまった(マジックミラー号は素人のお嬢さんを勧誘しているように見せているがじつは女優を仕込んでいるという噂が絶えないが、神に誓って素人のお嬢さんだと言っておきたい。それでもなおヤラセだインチキだという者については胸襟を開いて話し合いの場を設けたいと思うが話し合いが決裂した際には法的措置を講じる用意があることを肝に銘じておいてほしい)のもつかの間、さいきんは9月になってもうだるような暑さが続き、秋の気配を感じる間もなく今日は立冬である。
図書館で働いている梶原さん(前月号においてカジワラとルビを振ってしまったがカジハラの間違いだった。そのことについて、戸籍上の名前を呼び間違えるなんて本当に私のこと愛しているの?とずいぶん詰られた(苦笑)が、そもそも私には妻もいて子どももいてセクシーフレンド、俗に言うセフレもいるのだからカジワラだろうがカジハラだろうが知ったこっちゃないのだが、東京の四大卒で地方都市の図書館司書をしている梶原さんからプライドを取ったら巨乳しか残らないのだから、そのとっておきのプライドをくすぐったりつついたりして楽しんでいる)が有給休暇を取れるというので吟行を兼ねて(というのもひそかに二人で短歌を詠みあい、あるていどの分量がたまったらホチキス留めして文学フリマへの出展を計画しているからだ。ただし本名で二人連名というわけにはいかないから筆名を用意していて、梶原さんは自分の苗字にプライドがあるから「梶原一騎」、私はあくまで覆面をかぶっていたいし身体的な特徴として皮かぶり(真性)であるから「タイガーマスク」とするつもり)近郊の温泉へ紅葉狩りに出かけたのだが紅葉はまったく色づいておらず、温泉は数年前に出つくしたとかで井戸水をくみ上げて沸かしたお湯に浸かっているとどんどん身体の節々が重くなってきて、気づけば二人そろって高熱を発していた。真っ赤な顔をして布団にくるまっていたのだがぞくぞくと寒気は収まらず、それでも梶原さんは文フリで一発当てたいという野望が勝って布団の中でうわごとのように三十一文字をひねり出そうとする。そのとき出来上がった歌が