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1000字小説バトル

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1000字小説バトルstage4
第93回バトル結果

おめでとうございます!

今回のチャンピオン作品は、凜々椿さんの『NOKYO MILK』です。

投票結果
得票数 
1
巣立ち
小笠原寿夫
2
サヌキマオ
1
3
凜々椿
2
4
おんど
1
5
ごんぱち
1
6
銭形平次 八五郎の宿題
Grok
7
銭形平次 八五郎の宿題
Humanitext Aozora
8
公爵夫人
ゾラ/ 榎本秋村

感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。

「私の投票がない!」「内容が違うような?」……掲載もれ、ミスなどがございましたら、QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

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推薦作品と感想

■ Entry3
NOKYO MILK
凜々椿さん

感想:
文章が整っていて、非常に読みやすかったです。小説として成り立っていて良かったと思います。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
記憶を消す仕事があったとして、依頼する人はどれだけいるのだろうか。
いや、依頼する人はかなりいるだろうが、その後、「やっぱり思い出したい」という輩が山ほど出る事は間違いない。
何しろ、不明なものは恐ろしい、思い出せない空白が記憶に出来れば、躓くに決まっている。
そういう意味では、認知症が「忘れた事すら忘れる」というのは、ある意味救いかも知れない――で終わればロマンチックで良いのだが、患者の実感としては、世界がいきなり破壊されたようなものらしい。
あらゆる人生の恐怖を克服しようと、釈迦が頑張ったというのも納得のいく話だ。
投票者: このバトルへの参加作者

■ Entry2
いろいろな あん殺
サヌキマオさん

感想:
「巣立ち」
※ネタバレ注意
冒頭「よくある物語」とありますが、本当によくあるのでしょうか。
よく歩くといっても一日にせいぜい1万歩のわたくし、「よく」というのが
「たくさん」のことなのか「よいフォームで」なのか、デューク更家なのか、デュークSARAYAなのかデュークSARAIEなのか、わかりません。
父と子の諍いで更家にならないことを祈るばかりです。
「二度と家の敷居をまたぐな」
「そんなこと心配しとらんですよ」
「入るなコラ、入るな。入るな。入るなよ。またぐなよコラ。またぐな。またぐなよ。またぐな。またぐなよ絶対に」
「なんか激アツやん」
たしかに成長した息子が、嫌らしい意味ではなく成長したムスコが父親に歯向かって電流爆破マッチを挑む。そして野次馬の格好をした海賊男の手から千円札が行ったり来たりする。いまどき千円くらいでサプリメントの輸入なんてできないし、第一すぐに送り返したし、家人には自分あてではない郵送物は全部捨てろと言ってあるのだ。
「俺の財布や!そらお前らの気は晴れるやろ!」
海賊の一言で、物語の舞台が関西であったことが最後に明かされる。
福岡県警もびっくりである。


「いろいろな あん殺」
鴨嘴亮二の父親が鴨嘴一、母親が諸橋茉莉花。
諸橋茉莉花は平成15年2月14日、神楽坂紀の膳で彼氏(鴨嘴一)とバレンタインデート中、トイレを我慢しすぎてぜんざいを前にぜんざいのようなもので店内を阿鼻叫喚とする。
「紀の膳」は実在する甘味処の老舗で白玉ぜんざい1050円、クリームぜんざい1000円、もちぜんざい950円のいずれかを食したと思われる。食べログで3.39。
この物語の設定が令和7年として22年前の話。当時諸橋茉莉花18歳として40歳。
一方鴨嘴一があんぱんまんのお面をかぶった通り魔に襲われるのがその7年半前。諸橋茉莉花と同年代とすると、小学校5年か6年の時に刺されたことになる。
ここで気持ちを落ち着かせるために、THC成分が含まれたサプリメントを服用してみよう。
どうだろうか。
鴨嘴一はあんぱんまんのお面をかぶった通り魔に襲われたショックを忘れるために、鴨嘴亮二という別人格を創り上げ、自分の家系には「あん殺」が多いというストーリーを自分の脳内に生成したのではないだろうか。「あん殺」された先祖の名前や殺害方法の脈略のなさからもそれが窺える。
つまり神楽坂紀の膳の阿鼻叫喚は、通り魔に襲われた時のパニックであり、ぜんざいのようなものとはメタファーではなく、鴨嘴一(=鴨嘴亮二)にとって実存としての「あん」なのだ。
実存としての「あん」を私たちの業界では「真あんこ」と呼んでいる。
鴨嘴一の前にぶちまけられたつぶつぶのぜんざいのようなものは「真あんこ」である。そして、あんぱんまんのお面をかぶった通り魔も、鴨嘴一にとって「真あんこ」である。
鴨嘴一(=鴨嘴亮二)にとって諸橋茉莉花は恋人であり、母親であった。
これでもうわかっただろう。
諸橋茉莉花は鴨嘴一を性的に虐待していたのである。
「ねえ、これ痛い?」とは諸橋茉莉花の言葉である。
「真あんこ」を操って鴨嘴一の心を殺した諸橋茉莉花は、とうぜん「真あんこ」によって復讐を受けるであろう。


「NOKYO MILK」
翌日の朝一番で大事なクライアントに提出しなければならない企画書を徹夜で仕上げ、僅かに仮眠をとって目覚めるとフォルダごとなくなっていることがよくあるだろう。
夜中12時を過ぎると人差し指よりも中指が敏感になり、ときにはクリッククリックと女の人を悦ばせることもあるのだが、12時過ぎてマウスを中指クリックすると右クリックか左クリックかわからなくなって、フォルダごとどこか別の、例えば「全館避難訓練行動マニュアルold」とかいったクズフォルダの中に、滑らかにぬるっと滑り込ませてしまうことがあって、驚く。
このお話の「律」は、その名の通り、律儀にすべてのフォルダの中身を確認しながら消していく。フォルダごと消すようなことはしない。ファイルをひとつずつ開けて、第6のチャクラで除霊してから消していく。除霊しないファイルはシステム検索のプロパティの奥にある「地縛霊モード」で回復してしまうことがあるからだ。
私にも律のような丁寧な仕事ができたなら、終電間際に駆け込んで優先席に座ってストロングゼロを飲んで寝過ごしてしまうような体たらくにはならなかっただろう。しかし私にはできない。なぜならお腹がゆるいから農協牛乳を飲み干すことができないからだ。


「沈黙の臓器」
「雑木林ん中で、やったのさ」
「それを見ながら、シコったのさ」
「おとっつあん、それは沈黙覗き」
「やめとこう、夢になるといけねえ」
やっぱり桂三木助バージョンが好きです。
投票者: このバトルへの参加作者

■ Entry4
長編小説(途中まで)
おんどさん

感想:
 今回どれも楽しめた。

「巣立ち」
 どちらかというと浅草の軽演劇ってこんな感じですわね。古き良き「マガジン」のお笑いって感じ。

「いろいろな あん殺」
 あんきもで死んだのもこの中に入れていいのか苦悩いたしました。 

「NOKYO MILK」
 これはコンテンポラリーアート。削除するのが誰だかをわかっていたのではないかというくらいにコンテンポラリーなアートをしている。
 いっかな現代芸術といっても想定される客というのはいるもんでして、律の「気づき」がすべての答え合わせとなっておる。佳作です。

「長編小説(途中まで)」
 人類の進化が極まった結果がレール上でのローションプレイとはなんとも情けない。もっと広い場所はなかったのか。
 しかしこの暑いさなか、車椅子での鉄路の度は存外楽しかったことであろう。今年は万座高原に行ったが8月初旬で最高気温が24度でござった。まぁ日光も似たようなもんだろうので、きっとよかったのである。知らんけど。これで35万もらったら一生この仕事で食っていけますよのほほのほ、といったところですでに秋が来ている(飽きではない)。

「沈黙の臓器」
 「『ちん』はちんちんだろうが」で「いやいや、おかしいおかしい」と声に出てしまった。歳はとりたくないものだ。
 バレ話ですが綺麗にまとまっています。

「銭形平次 八五郎の宿題」
 すっとこどっこいながらもちゃんと作品が成立している! ノートが半分燃えているところなんか心憎いなと思いました。
 簡単ながらも伏線と回収みたいなこともやれていて恐れ入る。

「銭形平次 八五郎の宿題」
 八五郎の存在が文脈の中でいたりきたりするのが面白いな。おそるべき年齢不詳。AIは年齢に対する解像度が低いのかもしれない。

「公爵夫人」
 公爵夫人に対する賞賛なのか皮肉なのかと思ったら自然主義文学的だったんだな。ゾラだものな。
投票者: このバトルへの参加作者

■ Entry5
沈黙の臓器
ごんぱちさん

感想:
小説というよりは読む落語。
下がかった感じがちょっとしたバレ噺のようで、この馬鹿馬鹿しさが割と好きです。
サヌキマオさんのあん殺と迷いましたが、テンポの良さでごんぱちさんに投票。
シベリアと五目そばが食べたくなりました。
投票者: このバトルへの参加作者