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3000字小説バトル

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3000字小説バトルstage3
第3回バトル結果

ざんねん

一位作品の数が、その得票数以上となりましたので、規定により今回のチャンピオン選出はありません。次回にご期待ください!
みなさま、ご投票いただきましてありがとうございました。

投票結果
得票数 
1
緋川コナツ
2
2
小星はずっと何か食べてた。
サヌキマオ
3
植木
1
4
兎六
1
5
蛮人S
2
6
東京ロマンティック恋愛記
吉行エイスケ

感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。

「私の投票がない!」「内容が違うような?」……掲載もれ、ミスなどがございましたら、QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

推薦作品と感想

空蝉の部屋
緋川コナツさん

感想:
蛮人Sさんか緋川コナツさんかで迷いましたが、
今回は緋川さんに一票投じます。

読みごたえがありましたし、五感(におい、肌触りなど)の描写に気を使われているなぁと思いました。
ただ、最後の「ツクツクボウシの声を~」は個人的にはいらないかな、と感じました。梨の果汁が、じゅわっと広がって終わりの方が僕はいいと思います(上から目線ですいません)。
でも、(この文こそ一番書きたかったのかもしれないぞ)などと考えもし、小説って難しいと思いました。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
手練れの書き手だと思いました。内容はエロいですがエロサを感じない、それが長所かと。
投票者: その他のQBOOKS参加作者

うしがえる
蛮人Sさん

感想:
一番、好みでした。
登場人物の悩むポイントとか、スレ違い方とか。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
「小星はずっと何か食べてた。」
もちろん、ふざけているわけでもなく真面目に書いたんだろう
けど、読後感が「それで?」って感じ。
何も残らない。心も動かない。
でも「コボちゃん」って呼び名は可愛かった。

「三回忌」
うーん、何と言うか……全体的に言葉の選び方が古臭いように
思える。
すごく昭和っぽい感じ(昭和テイストは好きなんですが)
「パパ」「ママ」「兄貴」「ジョンちゃま」などの言葉のセンス
にも、それを強く感じた。

「私家版「蛇を踏む」」
本家の「蛇を踏む」も読んだことがあるけれど、これはこれで
面白く読ませていただきました。

「うしがえる」
かっこえー!
硬派な朗読劇みたいな、独特の雰囲気。
読んでいて、情景が鮮やかに立ち上がってくる。

「私家版「蛇を踏む」」と「うしがえる」とで悩みました
が、「蛇を踏む」のほうは二次創作的な小説だったので、今回
はオリジナルの「うしがえる」に投票させていただきます。
投票者: このバトルへの参加作者

三回忌
植木さん

感想:
喪に服する日々は、いつか「なんてことのない」家族の日常へとシフトされねばならない、それはある程度は時間が勝手に進めて行くのですが、いつか各々の心の中の、合意としての儀式が求められる、そしてそれが求められているのだということへの合意も。ジョンちゃまの死がその動機とされることへの合意も。「家族」の儀式のため仔猫の一匹だけが生ける贄になることへの合意も。それは不徳と呼ばれるべきではないはずでしょうが、軽快な語り口の中に「家族」それぞれの言葉にしてはならない葛藤と合意が見える。良い作品だと思います。胸ポケットのタバコとか日記帳といった小道具もうまく働いています。
投票者: このバトルへの参加作者

私家版「蛇を踏む」
兎六さん

感想:
「空蝉の部屋」
 いままでの氷川作品の中ではたぶん一番よく書けている。が、男側の気持ちが「そうじゃないな」って思う。元妻に甘えたい気持ちがあるのならば、離婚してもなんとか復縁→同居まで自分の都合で求めてくるだろうし、そうでなくて吹っ切れたのならば、そもそも梨を買ってきた時点で部屋に入れないだろう。
 中途半端にムラムラと来て襲いかかったものの駄目でした、というのは身に覚えがありあまるが、それもこの状況においてはそぐわない。ここで襲いかかっちゃうのはよっぽどの勘違い野郎でね。女の方はわからないけれど、男の方の造形はよくわからないことになっているように読んだ。

「小星はずっと何か食べてた。」
 たいへんたのしくかけました

「三回忌」
 父親の三回忌付近でジョンちゃま(犬)が死んで今度は猫を飼おう、という14歳3ヶ月の女子の話。「こんなもんだ」と云われると「こんなものかもなぁ」という感じで、確信的に「本作、ここがええですよ!」と言うのが難しい。14歳vs「全ては移り変わる」というテーマの話として読めばいいのか、いや、その割には書き手が何をどう「いい」
と思ってこの作品を書いたかが今ひとつ見えてこないのじゃ。もっと書き手のこだわりなり好みなりが前面に出てくると面白かったろうなぁ。

「私家版『蛇を踏む』」
 オチがすごすぎて前半どうだったかディテールが吹っ飛ぶ。このオチだけで15秒位笑い転げた。
 あらためてディテールを読むと<それから、たびたび着物屋からセールスの電話がかかってくるようになった。>というのが非常に面白い。ここは着物を買うだけでささっ済ますところ、なんだか作者の気に止まったんで描写を増やしたんだな。こういう独特の視点が間になって面白いと思った。
 川上弘美「蛇を踏む」も「蛇とは何か」という議題でずいぶん取り沙汰されたらしいが、その辺の「蛇とは何か」についてもこの作者は一定の回答を提示する形でアレンジングを加えている。結構な意欲作だと思います。

「うしがえる」
『私の世界はここだ。お前には分からん』
 蛙の言葉はロマン主義とも言えるし、先のないのはわかっていても、というニヒリズムにも思える。
 こういう作品が吐き出される、世の中の閉塞感や窮屈さを思います。鴉だって蛙だって、世の中の空気から押し出される側だものね。

「東京ロマンティック恋愛記」
 淳之介のおとっつあん。あぐりの旦那さん。もうこの「魑魅子」というネーミングからたまらんねぇ。
 当時から流行おしゃれ作家らしいけど、いまだっておしゃれオーラは紛々と伝わってくる。てぇしたものだ。
投票者: このバトルへの参加作者