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3000字小説バトル

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3000字小説バトルstage4
第25回バトル結果

ざんねん

一位作品の数が、その得票数以上となりましたので、規定によりチャンピオン作品はありません。次回にご期待下さい。

投票結果
得票数 
1
サヌキマオ
1
2
蛮人S
1
3
同郷人
前田夕暮

感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。

「私の投票がない!」「内容が違うような?」……掲載もれ、ミスなどがございましたら、QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

推薦作品と感想

半魚人殺し
サヌキマオさん

感想:
1『半魚人殺し』
 タイトルから察するに、きっと村上春樹が元ネタに違いない。私はそれを読んでいないものの、オリジナルの内容は本作品からも十分に理解できると思われた。まあ、騎士団長がトマトで死ぬことはないだろうけど。ただし、トマトは流血のメタファーではある。
 中世ヨーロッパだったろう作品舞台を現代日本に移すことで、より親しみやすくなったかと思う。またオリジナルでは一対一の血闘であっただろう騎士団長と騎士団長殺しの戦いの場面を、双方の数を大幅に増やすことで騎士団長団VS騎士団長団殺し団とよぶべき新しいスタイルに改変したのは、本作の最も大きな成功と言えよう。これは、ミミミ&クロシェのすっこ抜けたキャラクターと相まって、春樹においてはひたすら陰惨に描かれていたのだろう戦いの場面を、スポーツ感覚あふれる爽やかさを帯びたものへと昇華している。灰色の空の中に、弧を描いて次々と飛ぶトマトやリンゴのパートカラーのごとき赤色、黒澤映画の雑兵のごとく次々倒れる緑色の騎士団長団、この鮮烈にして伸びやかな合戦シーンの印象は、春樹では味わえないのだろうカタルシスを存分に感じさせ、作者の力量をうかがわせる。
 またその一方では、騎士団長団殺し団長がセリフの中で地球温暖化を匂わせるなど、社会的メッセージも随所に込められている。おっぱい女がふと口を滑らせた、化粧品に使われる素性の怪しい原材料に対して、ただ知らない、と言葉を濁すばかりの江夏老人、そして頑なに「信じない」を繰り返しながら眠ってしまうクロシェ、この不吉さを帯びたエンディングは、現代社会における闇の側面を暗示しているのではないだろうか。あるいは、この正体の分からぬ敵(スネイル)こそが、騎士団長団殺し団殺し団とでもよぶべき本当の人類の脅威だという、作者からの提言なのかもしれ
(評者、ここで何者かに殴打され一旦退場する)

2『帰省』
(評者、顔の絆創膏を剥がしながら復帰する)
話としては七人ミサキとかと同じく生者との選手交替、つまり誰かを犠牲にすることで入れ替わりに成仏できるかもという亡者の物騒な妄信が下敷きとなっている、つもりだったのですが、例えばそこを説明する伝承とかがあったら良かったのに、ぼんやりと暗示するにとどまっているあたり、やはり上手くないと思われます。
投票者: このバトルへの参加作者

帰省
蛮人Sさん

感想:
「半魚人殺し」
 久々のミミミとクロシェです。数年ぶりに三人称に挑んだところが新しいのです。で、ぎこちない。

「帰省」
 人が水難に遭うのは亡者が引っ張るからだ、というモチーフはよく見かけるのです。ちょっとまえの怪奇漫画ですと「仲間を増やしたかった」とか「純粋な恨みの感情だけが残った」とか、そういう感じであったかもしれない。
 ではもう一歩前に進んで「仲間を増やしてどうするのか」とか「人を引きずり込むことで恨みの感情は浄化されるのか」というところにまでは言及してこない。これ、菅原道真ならばわかるのです。怨霊の「怨」の部分がはっきりしているから沈めようがある。じゃあ、本作の場合はどうだろう。無事に復旧したあとの鉄路に亡者はいるのであろうか。いやちょっと待て、復旧工事のおっさんにはなんの被害もなかったのか――?
 まぁ、ナニかといいますと、この「亡者の動機」の問題がクリアされんと、この手の話はどーしてもパワー不足な気がします。西尾維新だと「溺死した霊本人がいまだに助けを求めているのでしがみついてくる(だったっけ?)」という処置の仕方をしてたっけなぁ。
 ただ、「明らかにそっちに向かうとヤバイのにまわりは誰もそれに気づいていない」という部分の恐怖感は十分にある。

「同郷人」
 まぁ「だからなんなんだ」と云われれば「なんなんでしょうね」という作品なのであるが文体で読ませる。文体で保ってる。
投票者: このバトルへの参加作者