感想:「Knife」
技術的なことはさておき、親友二人の心理戦を書きたいというのがよくわかります。
「そうね、その時は教えてあげるわ」という最後のセリフが、なんでもない一言のようでいて実は選び抜かれていて、非常によく利いていると思いました。
さておいておいた技術的なことに戻ると、この小説は一人称で書かれているので、主に「私」の主観で描写されると思うのです。
がしかし、<女子高生は特に、そういう方法を幾万通りも知っている。/ 彼女たちはいつだって殺気立っている。小さいけれど、殺傷能力に長けたナイフを、プリーツスカートの裾に、胸ポケットの中に、襟元の内側に隠し持っているの。>って、急に語りが三人称に切り替わっているように読めるところがある。「私」が<女子高生は>という大きさの主語で喋るキャラクターであればともかく、どうも作者自身が我慢できずに語り手として転がり出てきちゃったっぽい。このへん「おや」と思う。
「文烏」
書いていて面白かった。これでパロディでなければよりいいのですが、元ネタ「文鳥」の「飼ってもいいと答えた」がどうしても使いたかった。
さほど反省はしていない。
「庭の憂鬱とか断絶」
面白いな!
やっぱりこう、登場する人々がちょっとずつおかしいあたりのさじ加減がよろしいと思います。猫臭対策にトイレの消臭剤を置いてみたり、昼に食ったアジやほうれん草が夜にも出てきたり。ただの日常というのはつまらないものですが、行動様式やちょっとした変化をスッと書いて面白いところが非常に上品な笑いだと思います。
「サビタ沢教育所」
面白いな。「先生がいなくなった」というだけでこれだけ書ける。
先生つながりで。昔、NHKのみんなのうたで「せんせ ほんまにほんま」という曲がありましたが、アレに近いもんを感じました。
この、読後感で「先生とお松のあいだでなにかあったのか」でしばらく楽しめる作りはこんどやってみよう(といってやらないパターン)。
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感想:とわこさんは、柔軟な考え方ができて、すごいですね。
主人公は、なんだか真面目で、堅物そう。
だけど、いいかんじな相性ですね。会話から伝わってきました。
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