感想:「茅で満ちる」
書きたいものは書けたけどあいかわらず技術として下手だなぁと思います。
「塩を撒く」
よく書けた小説だなあ、と思います。しょせん他人の恋愛だし、それにちょっかいをかけようというのは、畢竟独りあそびです。なので、なんだかとんでもないタイミングで我に返ったりする。そういうもんだと思いますし、その「そういうもの」がよく書けていると思います。いいです、これ。
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感想: こういう人物(モモギ)を彼女の視点で書くとすれば、少々敷居が高いのです。ですが、本作では狼狽したままの満茅の視点で書くことで、そのまんまでクリアしています。これはたぶん一般的読者と同じ視点でしょう。
ありのままをそのまま提示することで描かれている世界は自然です。読者はスムーズに世界に入りこみ、体験できます。ここは重要と思います。友達だったキリコは四ヶ月で何だか距離を感じさせるようになり、モモギに至っては異次元です。その寂しさ、あるいは自分は世間から取り残されているのだろうかという不安感も、そのまま与えられています。そっちを主題とする分には成功しています。
一方で、作品から受け取る印象は、概ね読者の意識のまんまですので、何と言いますか、作者とキャラと読者とが三位一体みたいな予定調和みたいな的な印象があります。それが悪いことかどうか分かりませんが、モモギとは何だったのか、そのエッジに触れても何も変わらない主人公と一体化してモヤモヤするのは、それが狙いとしても少しつらい気もします。やっぱりモモギのほうが気になるのです。
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