感想:「へんなの」
タイトル通りです。
「焼餅泥棒」
この人だれだろう、と思って調べると社会改良家、とある。なるほど、小説を書こうというよりも「寓話として思想を語る」スタンスであるわけだ。
手法として「会話の情報だけで小説としていいのか」という疑問は常々あり、そうするとそれは問答であり掛け合いであり漫才でないか、と思いつつ、極力会話だけで進行しないように考えているものとしては「寓話」であればこの進め方もありなのかもしれないと思うに至るわけです。
要するに「小説をものすことで何を目的にするか」という話なんですが。その辺を思考する契機になったと思います。
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感想:entry1「へんなの」
なるほどへんなのと言いようがありません。何とも説明できない自身の中の違和感、田舎から送りつけてくる何かもそうだし、友達らしい人との微妙な隔絶もそうだ。世代やら距離やらなんやら。人はいつまで同じ舞台にはいない、はずなのだ。自分がへんなのか、他がへんなのか、ただそういうタイミングがへんなのか、よくわからないけど、そういうへんなのをへんなののままで提示する。以前もそういう感想をかいたような気がしますが、そういう書き方ができるのはとても良いと思います。
なお、一番へんなのはもちろん先生です。
entry2「焼餅泥棒」
泥棒です、と称して恥じぬ青年。薬屋も言う通り、こんな人間が存在できる文明社会は後にも先にも多分ないです。
もし生きる為の物が好きに得られる世界があれば、そもそも盗むという概念さえないエデンが現世にあれば、と、そういう夢想は作者にあったかと思います。ここで青年が意外な人情で救われて大物に、といった手合の話も世にはありますが、それは作者は拒絶したようです。
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