ある晩のことでした。 昔の恋人から小包が来てました。 「今更よねー」 と呟きつつも 懐かしい彼の筆跡・・・ 「責任取ってくれるのかよ。 全くもう!こんな気分にさせやがって」 彼はいつも突然なんだ いつのまにか私の前に現れ いつのまにか私の心に触れる 気がついたら私の心は盗まれ 気がついたら私、もう貴方しか見えないのよ たった一人のヒト 愛しいヒト いつも側にいてくれるヒト とても憎らしいヒト 今となっては 真夏の暑いある日 突然に貴方はいなくなった 残された私・・・ ただ海を見てた だってそうしていた少女の時 差し出された手 貴方の笑顔が眩しかった そうしていたら また会えると信じていた ただ眺めていたよ 毎日ね もう貴方の顔も忘れかけた頃 その小包はやってきた 中を開けてみた 「赤ん坊」だった 中身はなんとね 三寸ばかりなる男の子 竹の筒の中にいた そしてその周囲 黄金のぎっしりつまっていた 私は笑ってしまった やっぱり貴方なのね こんな訳の判らないセンス なんて趣味なのよ やっぱり貴方なんだわ 安心しちゃった 生きてたのね もうそれだけでいいわよ 許してあげる 赤ん坊のこと・・・ 私はまぶたを閉じてみる 私の後の女はもう死んだのね そして 貴方は絶対育てられない だって 貴方はとっても男だから 男って嫌いよ ヒトをこんなに好きにさせといて 俺は俺でありたいと そう叫んで 勝手にどこ行っちゃう訳? ずっと側にいて欲しい それは女のワガママ 私だって判ってる でも何も告げず 突然いなくなる もう貴方のこと忘れかけた頃 住所不定の差出人の筆跡 それは貴方のもので その中身は貴方と誰かの 赤ん坊・・・・ 私また笑ちゃったよ 自分自身にさ 何だか不思議と嬉しかった自分 貴方が私のことを覚えてくれて そして私を信頼して 赤ん坊を送ってきたことを 最後はやっぱり私を頼ってくれるのね だったら都合の良い女でもまあいいわ 許してやるよ この気持ち やっぱり私は貴方が好きだったのよね だからずっと待っていたの だから育てずにはいられない 私の失われた時間を取り戻すかのように 私はその子に全てを注ぎ込んだわ だんだんその子 貴方にそっくりになってくる 何もかも・・・・ 寄せてはかえす波 貴方との思い出 私は大海の小船 もう飲みこまれてしまいそう どんどんよみがえってくる感情・・・ それらの全てを身に浴びて すくすく育ったわ この子、たったの3ヶ月で成人したわ 出会った頃の貴方にそっくりさ 気がついたら私 抱かれてしまってた・・・ それは全く自然なことだった 不自然なくらい計画的な香りがした そうまるで貴方のような香り だから自然ななりゆき 何もかも貴方と同じ もう離さないからね どこにも行かせやしないんだから 目が覚めたら コーヒーを持ってきてくれてた 貴方って何故かいつも 私より朝は早かったものね そして私をかつてのいつものように しっかりとそっと抱きかかえて口付け 貴方は私に語りかけてくる 突然にやけに大人びた声で ずっと待たせていたね もうどこにも行かないぜ 俺は住み家に帰りたくなったのさ 諸国を修行して歩く毎日 お前のことを忘れる時は無かったよ 俺は俺であることに飢えていた しかし、本当の俺は お前の側にしか生きて無いことに ようやく気付いたのだよ でもな恥ずかしかったんでな 「ちょっと3ヶ月赤ん坊になれる君」 を発明してだね お前のところに帰ってきたわけさ お前に育てられるのも 悪くなかったな 精一杯甘えちまったなー ところでよーー 粉ミルクってまずいよな- なんなんだよこれはよー 全くいっつも貴方は突然なんだから あのねー、教えてあげようか 母乳の方がもっとまずいわよ-- 苦いんだよ- おう?お前飲んだことあるのか? あら2人とも昔よく飲んでたんじゃない? 貴方おっぱい大好きだったんじゃない? 貴方の乳母が私に良く愚痴っていたよ お坊ちゃまは歯型がつくまで よく吸うお方でしたって 赤ん坊の貴方も 私のおっぱいに歯型つけちゃってさ 全くその通りなんで笑ちゃった 私は何も出ないのにねー んーー? そうか! もともと俺は生まれつきそうだったのか なるほどなー 俺ってなんで こんなに興奮してるのかと思ったよ お子ちゃま変態プレイかと思ったよ !(><;)/�煤i>▽<)ビシッ あほーー 以前の2人の とってもお馬鹿な会話 また出来るなんて・・・ この馬鹿やろうーー 私だけ歳食ってしまったじゃないか! ああ、それな 次はオマエな 今度は俺が育てる番だぜ 安心しろよ 俺は苦い母乳なんか出ないからよー ああ、なんてお馬鹿な貴方 やっぱり私のたった一人の貴方なのね 馬鹿やろーー!! むかついたので もっかい赤ん坊になってもらった 再教育してあげるわよ! 覚悟しなさいよ! 私は 「ちょっと3年間赤ん坊になれる君」 を発明してしまったのだ スーパー教育ママゴンになって こいつの歪んだ性格のうち 突然いなくなるのだけは 矯正してあげるんだから 覚悟なさい!! おーーほっほっほ 終わり