「う、産まれる!」
地質学者が、化石を掘り起こしていると、いきなり悲鳴が聞こえます。地球が、悲鳴を上げています。
「この子をどうか宜しく。」
地鳴りのような音と共に、子供が産まれそうです。地質学者は、一瞬、目と耳を疑いました。眠たい目を擦り、ヘルメットを外しました。
「この子が粗悪を働くことがあれば、私は消えてなくなります。どうか、この子を宜しく。」
兎に角、この子は地球の化身です。地質学者は、この子を守ろうと思いました。助手に鎧を買ってこさせ、地球上でもっとも安全な格好をさせました。ところが頭を守るものがないのです。頭に何か被せるものはないだろうか。ヘルメットは小さすぎる。もっと大きな帽子はないものか。レッドカーペット。丁度いい。それにしよう。
フサッと頭に掛けてやると、この子はギラッと目を睨みます。泣くことなんてまずありません。
「強い子に育ちますように。」
レッドカーペットの採寸に身合う頭の大きさに、地質学者は、手こずりました。この子を誰が育てようか。地球全体で育てればいいじゃないか。国際連合で決まった、その条約は赤土保護条約とされました。この子が赤ちゃんと名付けられた由来です。
難産でした。
昔、在るところに爺哉と婆哉おりけり。爺哉は山へ芝狩りに、婆哉は川に洗濯に行きけり。婆哉、川に洗濯したる哉、川上から大きなる桃、どんぶらこどんぶらこどんぶらこと流れしは、婆哉、是、掬い上げ、家路に持ち帰りし候。爺哉、驚き賜り、ぎゃあと申す。婆哉、ここぞと大きなる鉈を用意周到とばかりに鳥居出したる。すぱり大きなる桃を切り落とす哉、中から男の子が出たとか出ないとか。男の子に桃太郎と平凡な名前を授け、仮に己が孫と為す。桃太郎、成長し樽は、八ヶ岳に行つたとか行かないとか。犬、猿、雉を引き連れて、鬼退治をしようかという素振りが、立派な侍に似たりし候。ひとつ、ふたつ、みっつと吉備団子を是また用意周到なる婆哉、是を持たせ、鎧兜を備え、桃太郎を送り出す。赤鬼、青鬼、黄鬼と薙ぎ倒し、家路に着きし、桃太郎。持ち帰りし、千両箱から大判小判がざつくざく。爺哉、婆哉、共に是を折半し、己の腹を満たししが、邪魔になり足る桃太郎。爺哉、婆哉、是を追い出しし候。桃太郎、ようやつとの思いで八ヶ岳に帰りしが、鬼の形相、善き哉、善き哉。成人したるが桃太郎、八ヶ岳にて、一生を平和に暮らすとあらば、是にて一件落着。めでたくなし。